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  • 執筆者の写真junpei

乾徳山は神様の山〜運命の出逢い〜



中4日で迎えた、今回の登山は乾徳山。 今年11回目となる山行ですが、乾徳山は最後の急峻な長いスラブ岩 を攀じ上らなければなならない為、私にとっては今年一年間の集大成となる であろう登山でした。 天候は雨。しかし、9時頃から天気が回復するという予報。 今回も谷川岳に引き続きでKさんに4時にピックアップして頂き、登山口まで 向かいます。 途中もかなり激しい雨が降り続いており、これは本当に大丈夫だろうか…と 懸念されたところですが、何度か雨の登山になった経験もあるので、 私は行く気満々でした。 登山口付近の駐車場へ着いても相変わらず雨は上がらずでしたが、若干小降 りになってきている様子。 登山客は私達以外には見当たらず、最後の急峻な鎖場も他の人を気にするこ ともなく、ゆっくり登れるかな。と良いイメージを持っていました。 雨合羽、ゲーターを付け、いよいよ6:43出発です。 登山口から樹林帯をゆっくり進んでから、まだ30分程しか経っていない時 だったと思います。 鬱蒼とした木々の合間から、少し視界が開けた場所で、何かが聞こえてきま した。 赤ちゃんの声?動物? 二人で耳を澄ますと、どうやら猫のようです。 発情期でもあるまいに、何だかものすごい鳴き声でした。 数歩歩くと、左側の生い茂る草の間から、猫がひょっこりと出てきました。 まだ子どもです。 その場にしゃがみ、「おいで!!」と両手を差し出すと、すぐに近寄ってき て、足元にまとわりつき、その可愛いさと言ったらありません!! あまりに必死に鳴くのでおそらくおなかがすいているのだろうと、お昼ご飯 用に買ったサケおにぎりをあげようと、咄嗟にザックを下ろしました。 すると、「オレジャーキー持ってるから、それやるわ」とKさん。 確かに、肉系の方が喜ぶだろうと思い、ジャーキーをあげるKさんと 猫ちゃんを見守りました。 すると、「アウアウアウ…!!!」と声を出しながら、ものすごい勢いで ジャーキーを食べ始める猫ちゃん。 こんな山深いところまで自力で登って来れるわけもなく、おそらく心ない飼 い主にここまで連れてこられ、捨てられたのでしょう。 一度でも飼われた事がある子猫が、こんな山奥に捨てられて、狩りができる はずもなく、真っ暗で寒い雨の中、どうやって夜を過ごしたんだろうと思う と、不憫でなりません。 暫く考えあぐね、懐に猫ちゃんを入れたまま登れないかと試してはみました が、結局断念。 Kさんが「ほっとけねぇ!中止だわ!」と言い放ち、敢えなく登山はそこで 終了となりました。 既に2匹飼っているKさんの家で3匹目…というわけにも行かず、私も動物禁 止で飼えないことから、お互い飼い主を探してみる事にしてその日は終了と なりました。 予報通り晴れてきた空を見上げ、後ろ髪引かれる思いで乾徳山を後にしてき た私達でしたが、雨が降っていて、足元が良くない事は確かでしたし、 最後の岩場も岩が濡れていて危険だったかもわかりません。 しかも、あの日登山で訪れる人はおそらくなかっただろうことを考えると、 これは運命だったのだろうと思えました。 鎌倉時代に臨済宗の僧・夢想疎石が修行したとする伝承を持つと言われる 乾徳山。 山の神様が、 「今日は登ったら危ない。だから、この猫ちゃんを連れて帰りなさい。」 と言っていたのかもしれません。 2日後には、なんと飼ってくれる人も見つかり、嬉しい結末となりました! 途中、Kさんが麓の恵林寺の山号となっている乾徳山に因み、名前を 「エリン」と名付けましたが、さて、その名前は存続するのでしょうか?? 何はともあれ、エリンちゃんの数奇な運命が明らかに幸せに向かっている 事は本当に嬉しく、私もエリンちゃんの運の強さに肖りたいものだと心か ら思いました。 しかし…。 乾徳山、今年中に絶対リベンジするぞ!! 待ってろ!乾徳山!!


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