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執筆者の写真junpei

乾徳山リベンジ!



いよいよ冬山シーズンを目前にし、これが今年の無雪期登山としては おそらく最後。 その山は、まさにこの1年の集大成とも言える乾徳山となりました! 前回猫ちゃんを拾って敢えなく中止となってしまった乾徳山でしたが、 果たして今回は無事に神様が登らせてくれるのでしょうか。 取り憑かれたように重ねていた山行も、なんとこれが今年12回目! 1月の天狗岳に始まり、シーズン中には3週連続登山なんていう時も ありました。本当に、我ながらよく頑張ったものです。 そして今回の山が何故、集大成なのか。 それはひとえに「鎖場の克服」と言えるでしょう。 高所恐怖症で鎖場が大の苦手な私。その私が、この1年間の山行や、 ボルダリングの練習等で、恐怖心を克服すべく大分頑張ってきました。 乾徳山には、頂上直下に20m程のほぼ垂直に近い鎖場があります。 これをクリアしないと、頂上へは到達できません。 当然の事ながら、迂回路など使いたくありません。 鎖場を克服できなければ、乾徳山へは登れない。しかし、以前NHKの 小さな旅で見たときの印象がとても良く、是非一度登ってみたいと思 い続けていた山なのでした。 その山に、いよいよ挑戦する日がやってくるなんて…! 何だか感慨深いものがありました。 いつものように、朝4時にKさんにピックアップして頂き乾徳山へ。 6:28、駐車場から登山口目指していざ出発です。 30分歩いたところで、猫エリンちゃん(現在はゆずちゃん)と運命の 出逢いがあった場所へと到着しました。 二人で暫し佇み、あの時のことを回顧しながら、現在のエリンちゃんの 幸せを喜びつつ、先へと進みます。 銀晶水、錦晶水を経て国師ヶ原へ。この辺りで一瞬、雪が舞いました。 美しい白樺の林を抜け、扇平へと到着。 ガスっていて富士山は見えませんでしたが、この広々した野原。 通常の登山ではなかなか見ない光景です。 登山客もなく、素晴らしい景色を独り占め。 ここを過ぎると、だんだん険しい岩場が続いて来て、核心部分が近づい て来た事がわかります。 そこそこの長さの鎖場を2カ所クリアし、暫く岩場を進むと、いよいよ 山頂直下に掛けられた最後の鎖場が見えてきました。 鳳岩と名前が付けられています。真下から頂上を見上げると、なかなか の高度感! 斜度は50°らしいですが、ほぼ垂直にしか見えません。しかも、足場は あまりはっきりしないスラブ岩。 心を落ち着けて、ボルダリングよろしく下から大体のルートを確認。 どうやら地面から数m先のちいさなでっぱりの石までが、足場が無い ようなので、ここまでは腕力で攀じ上るしかなさそうです。 下からアドバイスしてもらう為と、有事の際を考え、私が先行します。 いきなり足場なしなので、両腕に満身の力を込め、ぐいっと体を引き上 げると、多少上でひっかかっていた鎖が数センチずり落ち、更に腕に力 がかかりました。しっかりと両手で鎖を掴み、出っ張りへ足をか け、体を引き上げます。ここで一息入れて、次はクラックに足を入れな がら右上方向へと移動。鎖と岩の手がかりを頼りに、3点確保でゆっく りと進みます。 「気を緩めるなよ!」 「鎖をしっかり握って!」 「そこのクラックに足をかけて!」 「そうそう!」 と、Kさんが絶えず下から声をかけてくれるので、心強い事この上ありま せん。 岩場も半分以上過ぎた頃には、恐怖心はほぼなく、登れるという確信に 変わっていきました。 最後の手がかりに右手をかけ、左手で鎖を掴み、頂上へ…! やりました!登頂成功です。 無事を確認してから上って来たKさんからも、 「やったじゃん!!」 と声をかけられ、達成感で興奮し、到着時刻をメモする事も忘れるくら いでした。 とうとう念願の乾徳山(2016m)、制覇しました! お昼ご飯を山頂で食べ、下山路をどうするかKさんと話し合いました。 下山路は、ピストンよりも時間がかかること、また1/50,000の地図で は破線になっていて、道迷いの危険もありえます。 ということで、Kさんは大分懸念していましたが、もう一度鳳岩を鎖で 降り、ピストンすることに決めました。 あの垂直の岩場を降りるとなると、地面最後に近い足場がない部分で 相当腕力に頼ることになるかもしれません。腕だけで下りきるという 覚悟が必要です。Kさんが何度も「大丈夫か?荷物持ってやろうか?」 と心配してくれたのですが、私は独力でやる気でした。 そして、意外にも、それ程恐怖感はありませんでした。 Kさんが先行し、要所要所に待ち構え、万が一に備えます。…とは言え、 私が滑落したら単にKさんを道ずれにしてしまうだけでしょうが…(笑) でも、近くでKさんが声をかけてくれるだけで、精神的には全然違うの で、お言葉に甘えて近くで見てもらいました。 やはり懸念した通り、最後の小さな出っ張りまでに行く間の足場がない 部分が難しく感じました。一気に出っ張りまで足を下ろしてはいけない ことは頭ではわかっていましたが、早く安心したい為にそこまで行きた くなってしまいます。 そこで、Kさんに聞いてみると、「それは絶対やっちゃだめ!足を擦って 降りて来てもいいから、しっかり鎖握ってちょっとずつ降りて!」 とのアドバイス。やっぱり、そうだよね。と思い、覚悟を決めて腕力に 頼ってずりずりと足を下ろして行き、ようやく出っ張りまできました。 「大丈夫だ!もう落ちても怪我しねーぜ!」との声で、何だか笑いが こみ上げて来て笑いながらふらふらしつつ地面へ到着! いやー、なんとかクリアできました。 本当に、Kさんのおかげです! 難所を越え、扇平に着く頃にはすっかり雲も晴れ、往路では見えなかっ た富士山も顔を出しました。 本当に素晴らしい景色です。振り返って乾徳山を仰ぎ見ると、 広々した草原からポッコリと遠慮がちに立っているその山容に親しみを 感じました。いい山です。 ずっとここにいたい。そう思う景色でした。 何事もなく下山し、今年の総括にふさわしい登山も終了となりました。 Kさん、ご心配かけてすみません。本当にありがとうございました! 今年1年、本当に精一杯やりきりました。 全てが、素晴らしい山行でした。 今年ご一緒してくださった全ての方、本当にありがとうございました! 【今回の乾徳山登山記録】   行動時間 6時間53分(標準タイム 6時間15分)    12/12 SAT. 6:28 登山口 7:10 銀晶水 7:28〜7:33 駒止 7:58 錦晶水 8:08 国師ヶ原(雪が舞う) 8:34 月見岩(扇平) 9:53〜10:35 乾徳山山頂 11:35〜11:55 扇平 12:13〜12:18 国師ヶ原 12:51 駒止   13:21 登山口 【今年の登山記録】   天狗岳(雪山登山)(2640m)   前白根山(雪山登山)(2373m)   瑞牆山(2230m)   火打山(2462m)    妙高山(2454m)   大菩薩嶺(2057m)   鳳凰三山   『地蔵岳(2764m)、観音岳(2841m)、薬師岳(2780m)』   唐松岳(2696m) 谷川岳(1977m)   塔ノ岳(1491m)   御岳山(929m)   大岳山(1266m)   鋸山(1109m)   妙義山(850m)   乾徳山(2016m)  ∴ 百名山記録 13/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山    金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山    谷川岳】


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