硫黄岳登山翌日、乗馬、仕事、出張と怒涛のスケジュールをこなし、すたこらさっ さと出張先から戻ったら、翌日の登山の用意をし、睡眠時間4時間弱で向かった 蓼科山。 今回は、鳳凰三山をご一緒したNさん、Kさんと共に登る予定でした。 しかし、急遽Nさんのお子さんがインフルエンザ発症のため残るKさんと二人での 山行となりました。 今年は雪が少ないため、蓼科山もどれくらい雪があるかは気になるところ。 念の為ワカンをザックにくくりつけ、いつものように3時にピックアップして頂 き、6時過ぎに登山口付近に到着しました。 登山口までの車道は殆ど積雪無しのため、ワカンは置いたまま、とりあえずアイ ゼンなしで出発することにし、女ノ神茶屋登山口から登り始めました。 このとき、登山者は我々以外ゼロ。若干の不安がよぎります。 登山道の状況は、雪はかなり少ない様子。しかし、かなり凍結しており、歩きに くい。ということで、アイゼンを装着することにしました。 しかし、暫くすると雪が少なく、岩がゴロゴロむき出しになっていてアイゼンが かなり足かせになり始めました。面倒ではありましたが、今度は外します。 しかし、暫くするとだんだん雪の部分が増え、しかも全てがアイスバーンで、 非常に恐ろしい状況になってきました。 もうこれ以上は一歩もムリ!!と、斜面の途中ではありながらまたもアイゼンを 装着。この着けたり外したりのおかげで、30分以上も時間をロスしてしまいまし た。この辺の判断、非常に難しさを感じつつも、アイゼンを再び装着した後は 順調に氷の斜面を登ることができました。 おそらくこのアイスバーン、前日、前々日の気温上昇と雨により雪が融け、その 後全てが凍り付いたものと思われ、登山道全域が凍り付いているという初の状況 に不安を感じつつの歩行となりました。 そして、Nさん来なくて良かった。と、二人で話しました。なぜならNさん、ス トックと軽アイゼンで参加すると聞いていたからです。 私も雪山デビューは、図らずもストック軽アイゼンでの踏破ではありましたが、 あの時はここまで道が凍り付いてはいませんでした。何とか登れるかもしれませ んが、かなりキツくて危ないであろうと予測されます。慎重なNさんなら、もしか して中止したかもしれません。 この感じは冬山フル装備でないと厳しかったでしょうし、いずれにしても二人だけ で良かったのかも。 さて、天気予報ではまずまずの予報だったはずの蓼科山でしたが、期待を裏切るか のように、どんどん悪化の一途をたどっていました。 しかも結構な急斜面で、ずっと気が抜けない状況です。標高が上がってくると同 時に、気温はぐんぐん低下、しかも雪が降り始めました。 ザックや手袋、アウター、全てが凍り付いており、ニット帽の上からかぶった アウターのフードの先は息が凍って霜のようなものが垂れ下がっていました。 あれよあれよという間に、雪は積もっていき、アイスバーンが隠れて多少歩きや すくなったようなものの、登山としてはいかがなものか!?という状況になって きました。 樹林帯を抜け、いよいよ森林限界に達した頃、やはり稜線ではかなりの風が吹い ていました。ゴオォォォォ!!という音と、激しく降る雪。更に山頂直下の岩場 は、アイゼンが効かない気がして、なかなか次の一歩が踏み出せない箇所があり ました。辛うじて見える「山頂⇨」と書かれた黄色いペンキに沿っていくと、山 頂まではかなり巻いて行っている様子が窺えました。 すると、Kさんがいきなり雪の中を直登。その勇気に多少驚きながらも、なんとか ついていきます。 山頂間近とはいえ、帰路がわからなくなってはいけないと、Kさんが何度も雪を 踏み抜いて、穴を作り、更に目印として馬の形の大きな岩を見つけ、この岩が見 えたら曲がる!!と二人で確認します。(かなりヤバい状況) すると、いよいよ蓼科山頂(2530.7m)を示す指標が現れました。 とりあえず証拠写真を撮影。 本当なら、3日前に登った硫黄岳や天狗岳も見る事ができたはずでしたが、視界は ゼロ。 もともと広い山頂なのですが、歩いて回る気には全くなれませんでした。 雪は激しくなり、これってホワイトアウトじゃね!!??という恐ろしい状況 に…。 「Kさん、コワイですーーー!!!早く降りましょう!!」と私が言うと、 「ヒヒヒヒヒヒ!!」と意味不明な笑い声のKさん。 本当は山頂一周したかったようなのですが、私のビビりっぷりを目の当たりにし て、すぐに下山することに同意してくれました。 おそらく山頂滞在時間は3,4分といったところでしたが、さっさと下山です。 馬の形の岩を曲がり、なんとか樹林帯に入ると、風の音は止み、大分落ち着いて きました。 しかも、この日我々以外の初の登山者を発見!!これほど人と出会うことが嬉し いと感じることはありませんでした。 その後急なアイスバーンを下るのはなかなか気が抜けないところでしたが、 なんとか無事に下ってきました!! いやーー。マジでヤバかった…!! 数日前に亡くなったという至仏山の二人のように、我々も…?? と、一瞬頭をよぎる「遭難」の文字。 師匠が先日改めて言っていた「雪山で一番大切なのは天候だから」との言葉が 思い出され、心底ビビりました。 あ〜何もなくてよかった!! Kさん、本当にありがとうございました!! 次こそ青空の下で雪山登山したいものですねー…。 【今回の蓼科山登山記録】 行動時間 6時間34分(標準タイム 5時間) 7:00 女ノ神茶屋登山口 10:17 蓼科山山頂 13:34 女ノ神茶屋登山口 ∴ 百名山記録 14/100 【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山 金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山 谷川岳 蓼科山】