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執筆者の写真junpei

金峰山〜修験者の如く〜


Kさんの大怪我により、敢えなく単独行を余儀なくされて早2ヶ月余。 本当なら幾山も闊歩していたやもしれなかった雪山シーズンは、いつの 間にやらほぼ終わりを迎えてしまいました。 そんな矢先、Kさんからいよいよ復活!との吉報を頂きました。 さて、至仏山、燕岳、谷川岳等々色々案が出されたのですが、今年は雪が 各地でかなり少なく、残雪はほぼ期待できない様子。 そこで、敢えて雪山にこだわらず、最終的に「金峰山」で決定する事に なりました。 山にはまった一昨年秋、大弛峠から入った金峰山でしたが、それは 標高差200m強の超初心者コース。それで金峰山を登ったとは言い難い程 のへなちょこコースです。 しかし、他のルートで行くとすれば、瑞牆山荘からのロングコースしかあ りません。単純標高差1100mを1日で往復しなければならないし、休憩 等を入れるとおそらく9時間は超える計算になります。このルートを日帰 りするにはかなり健脚でないと難しいと思われます。 以前瑞牆山荘からのコースを歩いたことがあると言っていたSさんの話 を、賞賛の眼差しで聞いていた私でしたが、とうとう自ら挑戦する日が やってきました。 さて、春がやってきたとはいえ、山は未だ冬。折しもGW中に遭難が相次 ぎ、天気予報でも高山では未だ冬装備が必要だとのアナウンスがあったり で、一度はザックの外に出していた諸々の冬装備を再度入れ直し、最終確 認で見た瑞牆山荘最新情報での「金峰山は軽アイゼンでは対応ムリ」との 言葉を全面的に信用し、致し方なく冬靴と10本爪アイゼン、ピッケルまで 用意しました。 軽アイゼンなら3シーズン用の靴で行けるのですが、10本爪となると冬靴 を履くしかない…冬靴は重くて堅くて疲労度が増すし、靴擦れを起こすこ ともままある…しかも雪の無い道を冬靴で歩くのはかなりしんどい…。 と、なるべくなら冬靴は履きたくなかったのが真情。 しかし、アイゼンなしで滑落でもしたらそれこそ大変なので、完全冬山装 備で臨むことにしました。 当日2時起き3時出発と、いつものようにかなりハード。 GW中の唯一の平日でしたが、駐車場についてみるとかなりの人出。 この時期、大弛峠までのゲートは閉まっているため、金峰山に登るなら 必然的にこのコースか長野県側から入山するしかないので、金峰山に登る 人は少ないのではと踏んでいました。その予想通り瑞牆山に向かう人が多 いようです。 いざ歩き始めてみると、富士見平小屋までの道が結構急登なのに驚きま す。以前瑞牆山に行った時にはそんなに感じなかったような気もしました が、歩き始めから、何となくいつもの私の感じではなく、足が重くて上が らず、結構今日はしんどいな…と思っていました。 富士見平小屋を過ぎ、大日小屋に着く途中で痛みのあまり、堪らず靴紐を 直すための時間をもらいました。 靴の履き方は未だ試行錯誤で、特に冬靴はイマイチ加減がわからず毎回良 かったり悪かったりで差が激しいのが現実。今回はかなり初期の段階で痛 みを感じたので、もしかするとヤバいかも…と懸念しながらの歩行になり ました。 大日小屋の水場でおいしい水を汲み、ようやく大日岩まで到着。雪は皆無 で、肩にずっしりとかかるピッケルや冬装備の重みと、足かせのように感 じる重い冬靴。ピッケルなんて誰も持って来ている人を見かけません。 逆に恥ずかしいくらいです。 ムムム…!!これってただの苦行じゃん!!歩きながら「持って来て損し た〜!!」とぼやいていると、「トレーニングだと思えばいいんだよ!」 とKさん。うーーん。前向き! また、私達の会話を聞きながら山頂から下りて来たおじいちゃんが 「1カ所だけアイゼン履いた方がいいところ、ありますよ!」と、慰めと も取れるお言葉をくださいました。 その言葉通り、砂払ノ頭直前の急登箇所で、踏み固められ泥だらけになっ て圧雪した氷が目の前に見えてきました。軽アイゼンをつけて降りている 人もいましたが、結構そのまま登っている人も多く、最初はKさんも 「めんどくせえな。このまま行っちゃうか?」と言っていました。 しかし、この為に嫌な冬靴を履いて、ピッケルまで持ってやって来たの だからと、結局装着することにしました。 さすが10本爪!安心感がまるで違います。ガツガツと調子良く登って行 ったのも束の間、あっという間に雪の部分は消失。 本当に本当に短い時間でした…。 砂払ノ頭に出ると、富士山から南アルプス、中央アルプス、そして八ヶ岳 が一望できました。本当に良い天気で、疲れも忘れる程です。 暫し写真撮影に熱中。 そしてここからは森林限界を超え、岩場と急登が続きます。しかし、靴の せいなのか靴擦れの痛みのせいなのか、はたまた体調が悪いのか…どうも いつものように頑張れません。攀じらないといけない岩場も、力が入らず Kさんに遅れを取りながらの歩行でした。見るに見かねたKさんがピッケ ルを代わりに持ってくださり、しかも岩場の度にストックを持ってくれ、 段差のあるところは手を貸して下さる等、大分御迷惑をかけてしまいまし た。 今回は相当キツいなぁ…と挫けそうになりながら、稜線を必死になって歩 きました。五丈石が少しずつ近くなってくるのを励みに、あと少し、あと 少し…!と励ましながらようやく金峰山(2,599m)へ到着!! どうなることかと思いましたが、なんとか到着です。 金峰山からの瑞牆山の姿はやはり美しく、天気も最高で本当に来てよかっ たと思う瞬間でした。 ご飯を食べ終わると、当然の如くKさんが五丈石登りを始めました。 まるでスパイダーマンのようにひょいひょいと岩を登って行き、数分で 頂上へ到達しました。さすが!!!周囲には、拍手をする人も。 その後何人か挑戦する若者がいましたが、ほとんどみんな途中で断念。 Kさん曰く、「向こう見ずな人間しか登れねぇ」とのこと。 登山をする事自体、頭がおかしいとは思いますが、Kさんの場合は突き抜 けてますから…(笑) 頂上をゆっくり楽しんだ後は、いよいよ下山です。靴擦れ部分は改めて テーピングし直し、しっかり靴紐も結びました。前半のへばり具合を心配 してくれたKさんでしたが、今度は上手に靴も履けたようで、しっかりと 歩けました。いい調子でどんどん下って行きます。 砂払ノ頭からの数十mの間も、横着せずアイゼンをしっかり履いて下って 行きます。途中、調子が戻って来たのでピッケルを自分で持つことにし、 Kさんにお礼を言って受取りました。 ようやく大日岩まで来ると、終わりも近づいて来てホッと一息。 大日小屋を過ぎ、ようやく富士見平小屋へと到着しました。 私がお手洗いに行って帰ってくると、Kさんが肩で息をしています。 「えっ!?」と驚きつつ、Kさんらしからぬ様子に少し心配。 かなりお疲れのご様子でしたが、ここでの休憩で息を吹き返したらしく、 いつもの調子に戻ってとうとうゴール!! いや〜結構な山行でした…。鳳凰三山へ行った時以来のハードさでした。 Kさんもかなりしんどかったようで、反省しきりでしたが、私ももっと精 進が必要だと改めて思う内容となりました。 瑞牆山荘の嘘っぱちな情報に踊らされ、アクセサリーにしてはかなりの負 担となったピッケルや10本爪アイゼンを始め、数々の冬山アイテムによる 拷問に近い今回の登山。 修験者の如く悟りを開く事はできませんでしたが、修行としては十二分に 私達を鍛えてくれたように思います。 「ど根性だけは、確実にある!」と言って間違いありません(笑) とりあえず無事に帰ってこられて良かった良かった! 私が前半ストッパーになってしまいましたが、今回もKさんの御陰で何と か帰ってこられました。ありがとうございました! 【今回の金峰山登山記録】   行動時間 9時間 35分(標準タイム  7時間15分)  6:20 瑞牆山荘 7:00〜7:05 富士見平小屋 40(50) 7:45 鷹見岩分岐  7:55〜8:05 大日小屋 50(60) 8:47 大日岩 42(30)   11:15 金峰山山頂(2,599m) 2’27(1’50) 12:10 山頂出発   14:08 大日岩 1’58(1’40) 15:15 富士見平小屋 1’07(1’05) 15:55 瑞牆山荘 40(40)  ∴ 百名山記録 14/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山    金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山    谷川岳  蓼科山】


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白谷小丸

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