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五竜岳

最終更新: 9月2日




北アルプス五竜岳。7月に一度流れたこの山に、再度チャンスがやってきました。

残念ながらNさんは都合がつかず、今回はTさんと二人で向かうことに決定。

今年はコロナの影響で、テン場も小屋もかなり人数を制限しており、完全予約制となっています。本来ならば登山客で沸き返っているはずの北アルプスも、いつもより静かかもしれません。

今回Tさんから提示されたのは、遠見尾根を使って五竜岳に登り、唐松岳を経由して下山するルートです。

一般的に推奨されているのは、唐松岳→五竜岳。

おそらく唐松岳へ続く八方尾根は単純標高差で約800mと、比較的登るのが楽なことがその理由だと思われます。こちら側からのルートで懸念される点は2つ。ひとつは唐松岳直下の牛首という岩場を下りで通過しなければならないこと、そしてもうひとつは一気に五竜山荘まで移動する必要があるということです。

一方遠見尾根は、途中(地蔵の頭)までリフトで上がれるのは八方尾根と同様です。五竜山荘までの単純標高差は約900mとそれ程差がないように思われますが、アップダウンが続く為、小屋までの累積標高差は1,000mを越えることは確か。

リフト開始が8時と案外遅いこともあり、コースタイムを考えれば初日に五竜岳登頂はなかなか厳しそうです。更に午後から霧との予報もあり、もし時間と体力に余裕があって登頂したとしても、全く眺望のないまま、修行登山になる可能性大…。余力があれば初日にミッションクリアしたそうなTさんでしたが、私は殆ど登る気ゼロ(笑)。

以前唐松岳に師匠やKちゃん、Mちゃん、Nちゃんと登った時のことを思い返しても、唐松岳は比較的易しい山だったとの印象も強いことから、2日目に五竜岳登頂、その後唐松から下山でOKだと思いました。


さて、当日の朝。時間に余裕をもって3時半に迎えに来ていただき、五竜岳テレキャビンへと向かいます。アルプス平駅からもうひとつのリフトに乗り継ぎ、地蔵の頭へ到着。

長く続いた梅雨と、梅雨明け後の連日の猛暑で、山には燧ケ岳以来一度も行っていない状況で、体力低下は否めず、果たして本当に登ることができるのかとにかく不安でしかありません。

時間がかかったとしても、小屋には必ず着きますよ!とTさんに励まされながら、まずは一つ目のピーク小遠見山目指して出発です。

地形図ではかなり込んだ等高線の連続で、思った通りあっという間に息が切れます。まだまだ序盤にも関わらず、この調子では、先が思いやられます。

しょっぱな先制パンチの400m弱の急登を終え、小遠見山に着いてみると、予報より早くガスが出てきました。鹿島槍の眺望が良いとのコメントが1/50,000の地図には記載されていましたが、残念ながら何も見えず仕舞い。

一息入れ、次なるピーク中遠見山へ。その後地味に小さいアップダウンが続き、急登を登り詰めると大遠見山です。依然として眺望はゼロ。

大遠見山からは比較的緩やかな道が続き、いよいよ西遠見山へ到着しました。

ここから白岳までは、約300mの最後の急登が待っています。ここへ至るまでのいくつものアップダウンでかなり疲労は増してきており、最後だからと気合を入れ、登っていきます。

厳しい急登!!途中息を入れながらでないと登れません。

次こそピークか!?との期待を幾度も裏切られながらも、とうとう白岳へとやってきました!

山頂から見下ろす小屋は目と鼻の先で、不安からも一気に解放され、心踊る気持ちで五竜山荘まで一直線!

天候は相変わらずの霧。ということで、この日はこれにて終了ということになりました。

部屋に行ってみると、かなり広いお部屋を2人で使えるらしいことが判明。蚕棚での宿泊だと思っていただけに、お部屋を使えることになって本当にラッキー!!

暫くすると、何やら音が聞こえてきました。なんと外は土砂降りの雨!!あのまま山頂を目指していたら間違いなくびしょ濡れになっていたに違いありません。

雨に降られることもなく、無事に小屋に着くことができて何よりでした…!!

その後着替えと、荷物の整理を終え、食堂で安着祝い。

やがて夕食の時間が近づいてきたので、一旦部屋に引き上げ、雑誌を読む等しながら過ごしました。

夕食は有名なカレーライス。標高の高い場所にある割に、生野菜たっぷりなのが嬉しいこと。夕食が終わる頃、雨もようやく止み、陽が差してきました。ふと気付くと部屋の窓から大きな虹が出ているのを発見!!なかなか見ることのできない完全な形の虹でした。小屋から外に出てみると、ガスが去り、五竜岳がしっかりその姿を現していました。五龍岳の横には沈みゆく夕日。美しいその景色を暫し堪能します。翌日通るであろう登山道を目で追いながらその山容をじっくり観察します。ゴツゴツした岩山で、大きく、男性的な印象を受ける山です。眼前に聳えるその頂きは、迫力があり、圧倒されます。

近そうに見えても、登り1時間の行程は、結構きついのだろうと予想されました。


暫く五竜岳に想いを馳せていると、周囲の人たちが何やら騒いでいます。

みんなが指さしている方向をよく見てみると、遠見尾根の南側付近になんと最近出没の頻度が高まっているというクマの姿が…!!

とは言え、実際には小さい黒い点にしか見えなかったので、はっきりとはその姿を確認することはできませんでした。しかし、明らかにその小さい黒い点は移動しています。

わおーーー!!野生のクマ、初めて見ました…。

やっぱりいるんだ~…。尾根で出会わなくてほんとに良かった…。

やがて夜のとばりが下りてきたので、部屋へ戻り、読書。20時には就寝となりました。


翌朝、4時頃早立ちの人たちの気配で起床。朝食のお弁当を部屋で食べ、必要なものだけを持って頂上へアタックです。

丁度岩場に差し掛かる辺りで背後から太陽が昇ってきました。

天気はこれ以上ないというような快晴です。

途中鎖場もありながら、殆ど補助的に使うだけで先へ進みます。

小屋から1時間弱。とうとう念願の五竜岳山頂(2,814.3m)ヘ到着!!

周囲の山をじっくりと見渡します。

相似形の山容が美しい鹿島槍。この鹿島槍が間近に見えていること自体、まさに今、自らの立脚点がどこであるか!ということを猛烈に感じさせてくれます。黒部峡谷を挟んだ向かいには立山、そして剣岳…!!

剣岳を初めて見たのは、前回唐松岳に登った時でした。ギザギザした岩の塊、剣岳。その剣岳に対する圧倒的な強さ、その存在感。その印象は今も変わらずで、その時に感じた気持ちが再び蘇ってくるようでした。

雲海の中には遠く八ヶ岳も見えていました。

素晴らしい眺めです。

暫し景色を堪能し、小屋へと帰還。身支度を整えて、唐松岳目指して出発です。

尾根上は、ほぼどの位置からも五竜、立山、剣が見守ってくれており、途中しんどい道がありながらも旅のお供としては勿体ない程の役者揃いで、時折癒され、また鼓舞されながら進んでいきます。

順調に大黒岳を巻いていくと、行く手に見えていた牛首と思われる岩稜帯が眼前に迫ってきました。

ストックをしまい、念の為ヘルメット装着で、いよいよ核心部へと突入です。

今回の山行の中でも、肝と思われた牛首という難所。

しかし五竜岳山頂で会話をした男性は、五竜の岩稜帯とほとんど変わらないと語っていました。

なぁんだ。そうなのか。と拍子抜けした通り、始まってみるとそれ程でもない様子。

しかも登り基調の為、恐怖は殆どなし。

体力が落ちているせいか、途中どうしても息を整えないとなかなかサクサクとは進めませんでしたが、岩場自体はかなり楽しい!

危なそううなところには漏れなく鎖が付いており、その鎖もほぼ使うことなく通行可能でした。

予想していたほぼ垂直っぽい岩稜は殆どなく、その多くがトラバース。足場もしっかりしていて慎重に行きさえすれば、初心者でも十分対応可能でした。

そもそも破線ルートでもないし、そんなにびびる必要はなかったのかも…。

これなら、八峰キレットも行けるかな?等と想いを鹿島槍方向に馳せながら、核心部は終了し、唐松岳頂上山荘へ到着したのでした。

目の前の唐松岳ですが、Tさんが登らなくても良いとのこと。私も以前登ったことがあるので山頂はパスし、一気に下山となりました。

もう少し楽だとおもっていた八方尾根も、長時間の歩行のせいで最後はかなり疲れました。しかし、天気も崩れることなく無事に八方池山荘へと到着したのでした!!


アクセスの悪い北アルプスは、なかなか挑戦するチャンスがありませんが、今回は本当にお天気にも恵まれ、最高の登山となりました。

Tさん、体力不足で足を引っ張ってしまいましたが、色々お世話になり、ありがとうございました!!



【今回の五竜岳登山記録】  

〈1日目〉

 行動時間 4時間28分 (5時間20分)

■山行時間 3時間56分

 8:53 地蔵の頭

 9:56~10:03 小遠見山 1'03(1'30)

10:20 中遠見山 17

 10:58〜 11 : 07 大遠見山 38【55】(1'50)

11:33~11:50 西遠見山 26

13:22 五竜山荘 1'32(2’00)

〈2日目〉

 行動時間 7時間22分 (7時間)

  ■山行時間 6時間40分

 5:03  五竜山荘

5:53~6 : 02 五竜岳(2,814m) 50(1'00)

 6:49~7 :12  五竜山荘 47(40)

 9:35 唐松岳頂上山荘 2'23(2'30)

10:22 丸山ケルン 48

10:30〜10:40 扇雪渓 8

11:30 第3ケルン 50【1'46】(2'00)

12:25 八方山荘  55(1'00)

∴ 百名山記録 36/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山   金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山  谷川岳  蓼科山  雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳  甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳 両神山 鳥海山 霧ヶ峰 那須岳 至仏山 安達太良山 木曽駒ケ岳 御嶽山 会津駒ケ岳 燧ケ岳 五竜岳】


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