テント泊をした笹尾根縦走を経て、初めて山の懐に入れたような気持ちから、山に対する向き合い方に自分なりの形のようなものが見えてきた私ですが、その妄想や思索はさておき、次の山の選定です。
時を同じくしてTさんも私も名古屋に出張に行くことになっていたことから、Nさんも当日東京からやってきて頂くことにし、その山を恵那山と決めました。
しかし、恵那山はどのコースを取ってもまあまあ距離がある為、万一積雪があるとかなり困難になりそうでした。更に予定していた日は悪天候が予想されていた為、敢え無く日程を翌日に振り替え、選定もやり直すことになりました。
標高の高い山では、既に季節は冬へと移行しつつある為、なかなか悩ましいところではありましたが、最終的には雪のリスクが低い「茅ヶ岳」に決定。
余裕があれば金ヶ岳往復ということで、いつもよりだいぶ遅い出発時間となりました。
さて、この茅ヶ岳。一番有名なのは、深田久弥終焉の地であるということでしょう。「にせ八ケ岳」と若干不名誉な呼ばれ方をしているこの山ですが、展望は茅ヶ岳の先の金ヶ岳より良いと言われています。手軽に登れて、絶景が見られるのならそれはそれで有難い!ということで天気ばっちりの中、山頂を目指して登り始めました。
まずは沢伝いの道を辿り、女岩まで進みます。
比較的緩やかで歩きやすい道が暫く続きますが、女岩手前から急に道は急登へと変化。岩場を過ぎると、どこが登山道かも判別が難しい程、落ち葉で覆われた狭いつづら折りの道を一歩一歩進みます。勾配はかなりあり、落ち葉のせいで木の根や石がよく見えず、時折足を取られそうになりながらも、慎重に登っていきます。ようやく沢を詰め、尾根に乗りましたが、相変わらずの急登は続いており、あの辺が山頂か??という目測がだんだんはっきりしてきた頃、ひょこっと小さい碑の前に出てきました。
ここが深田久弥終焉の地。この急登の登山道からどうやって遺体を運んだのか、そちらの方が気になってしまいます。碑の前には、神様でもあるまいにお賽銭が供えられており、イマイチ腑に落ちない。そもそも作家としての「日本百名山」以外はあまり褒められた生き方をしている人ではないし、彼を崇め、彼が選定した百名山だけに固執して登るハイカーを、どこか冷めた目で見てしまいがちな私です。日本人は、結局何かしらの格付けのようなものが好きな民族なのかもしれません。
でも、確かなのは、深田久弥が決めなくても、そしてどんな山であっても「山」は素晴らしい!!ということです。
さて、深田久弥の碑があったということは、山頂は目前です。ひと踏ん張りして坂を登ると、急に視界が広がりました。茅ヶ岳(1703.5m)山頂です。
ほぼ360度の展望が私たちを迎えてくれました。
瑞牆山、金峰山、富士山、真正面には鳳凰三山、ちょこっと顔を覗かせている北岳、そして甲斐駒ヶ岳。北には八ヶ岳…。まさに絶景です!!
鳳凰三山は本当に目の前に見えていて、オベリスクがくっきりと見えていました。もっと景色を堪能していたいところでしたが、懸念していた風はやはり相当強く、山頂にとどまっているのはかなり困難。低体温症になってしまいそうな風でした。更に、金ヶ岳までのアップダウンを目の当たりにすると、急速に気持ちが萎えていきました。「もういいんじゃないですか??」とやる気のない言葉を口にしましたが、お二人もそこに同意してくれたので、簡単に食事を済ませ、一気に下山開始となりました。
結局13時前には下山完了で、あとは絶景を見ながら温泉に浸かり、お手軽で楽しい登山となりました。
今回も、楽しい山行となりました。TさんNさんありがとうございました!!
そして、次はもしかするとバッチリ冬山用のギアを整えたお二人と、雪山へご一緒できるかもしれません(笑)
【今回の茅ケ岳登山記録】
行動時間 3時間47分 (3時間55分)
■山行時間 3時間7分
8:10 深田公園入口
9:00~9:08 女岩付近 50(1'20)
10:00~10 : 30 茅ヶ岳 52(60)
11:57 深田公園入口 1'27(1'47)
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