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愛すべき存在

  • 執筆者の写真: junpei
    junpei
  • 2010年2月24日
  • 読了時間: 2分

長かった入院生活、療養生活を終え、今日が社会復帰初日。

中町通を敷地沿いに右に折れると、懐かしい匂いが漂ってきた。 馬の匂いだ。 ボロの匂いや馬の独特の匂い、寝わらの匂い…。 人はこの匂いを嫌うかもしれない。 でも、私にとっては何とも言えない優しい匂い。 思わず顔がほころびる。

「あ〜!!帰って来たんだ」

そう思ったら、早くあのこたちに会いたくて会いたくて、 ついつい歩幅が広くなる。 懐かしの門をくぐり、警備の方と久々のご挨拶をする間も惜しみ、 はやる気持ちを抑えて、厩舎地区へ。

一番手前の馬房は、何度となく乗っている天蓬。 耐えきれず、遠くから名前を呼ぶ。 近寄って、名前を呼びながら首に抱きついた。 彼も思い出したように思い切りじゃれてきた。 嬉しくて、嬉しくて、彼の顔を両腕で抱え込んで挟み、 顔をこれでもかというくらい擦り付ける。 おでことおでこをくっつけて、 「久しぶりだね!!元気だった!?」って話していたら、 涙が出た。

馬のいい匂い!! あったかい!! おっきい!! そして…優しい…。

ああ。こんなにこの子たちは、優しかったんだ。 私にとって、この子たちの存在はこんなに大きかったんだ。 そう思ったら、息が苦しくなる程、心が震えた。

みんな、優しく私を迎えてくれた。 始業時間1時間前に着いたのに、 ひとりひとり挨拶しながら厩舎をまわっていたら、 あっという間に1時間過ぎてしまった。

すっかり化粧もはげ落ち、馬の匂いが体中から漂っている。 でも、いいにおい。

私の心をいつも支えてくれていたのは、 間違いなく、この子たちだった。 3ヶ月も会えなくて、忘れられていると思っていたけど、 彼らは裏切らなかった。

ありがとう。みんな。

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