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赤岳〜阿弥陀岳



梅雨時期の雨をかいくぐり、次なる山行は八ヶ岳の最高峰赤岳と横岳に次いで3番目に高い 阿弥陀岳縦走。今回もKさんとの山行です。 八ヶ岳は、既に天狗岳、北横岳、硫黄岳、蓼科山と全て冬山で訪れていましたが、夏の時期 は初めて。実は今回のこの山行、Kさん曰く赤岳冬山登山に備えての下見も兼ねていまし た。 Kさんとは以前から冬の赤岳をやれるかやれないかの話はかなりしていますが、方々から聞 こえてくる話では、やはり相当難易度が高いようです。 私の技術では到底無理だとは思いつつも、いつかは行ってみたい…。そんな夢を心の片隅に 置いての赤岳登山となりました。 絶好の天気の中、5時にいつものようにピックアップして頂き、美濃戸口へ。硫黄岳からの 帰り道、美濃戸山荘から美濃戸口までの1時間弱がとにかく辛かったこの林道歩きでした が、歩き始めのせいか、あっという間に美濃戸山荘に到着。いよいよ南沢経由でまずは行 者小屋まで向かいます。 冬山とは全く違う苔むした岩や美しい緑を堪能しながら、沢を徒渉すること数回。枯沢に 足を踏み入れたところで、突如として横岳の大同心、小同心が目に飛び込んできました。 硫黄岳登山以来のご対面です。 しばらくその枯沢を進んだのですが、やけに長く、石がゴロゴロしていて歩きにくい事この 上ありません!かなりお尻の筋肉に疲労がたまって来た頃、ふと右岸の先に登山者を発見。 こちらの枯沢ではなく、樹林帯の方へ入って行きました。 あれっ!!??間違えてた??と本道へ入ってみると、俄然歩きやすい…。やられました。 ストックでお尻の筋肉をほぐしつつ休憩し、暫く歩くとあっさり行者小屋へ到着。ここで お昼ご飯となりました。 しかし、ここからが赤岳登山の核心部分。まずは、今回最初の課題、地蔵尾根に挑戦です。 等高線がかなり混んでいるこの地蔵尾根。歩いてみるとやはりかなり険しく、相当きついで す。しかも切れ落ちた岩場のトラバースや、斜度のある岩場の連続で、鎖、梯子等が続いて います。Kさんからは、鎖を使わず岩を登ってみろとの指令。言われた通り、頑張って鎖は 使わず、攀じ上って行きます。しかし、途中かなり怖さを感じる部分もあり、これを冬山で トライするのはちょっと無理ではないか…と正直思いました。 急登で息があがり、途中何度か立ち止まりつつも地蔵の頭まで登ってきました。 両側が切れた稜線を進み、この日の宿赤岳天望荘に到着です。標準タイムより速いペースの 5時間を切るタイムでこの日は終了。 小屋に着いてみると、まだ時間が早いからなのか登山客の姿はなくどうやら私達が一番乗り のようでした。 案内された部屋を探しつつ廊下を進むと、 「あっ!!やべえ!!二人部屋だぜ!!」と、どでかい声を出すKさん。 というのも、この小屋の二人用個室は相当狭く、 ダブルベッドひとつ分程の幅の部屋に布 団がぎちぎちに敷いてあるだけの部屋。 Kさんが懸念していたのがよくわかる程の狭さです。 確かにここにKさんと二人で寝るのは…うーーん…。…かなり、気恥ずかしい。 男女二人の登山客だからと、小屋の方が気を利かせて二人用の個室をチョイスしてくれたの かもしれませんが、さすがにこの部屋は…(笑) とうことで、平日ということもあり、そんなに宿泊者もいないかもしれないので、ダメ元で 私が交渉しにいくことにしました。 母屋に戻り、小屋のお兄さんにおずおずと切り出しました。 「あのー…。つかぬ事を伺いますが…。今日は宿泊される方沢山いらっしゃいますか??」 「いや…そうでもないですけど。」お兄さん、訝しがりつつ答えます。 「あのーー。もし出来ましたら、3人部屋使っちゃダメでしょうか…??」 「…ああ。じゃぁ、21号室で」半ば投げやりな感じではありましたが、快諾して下さり 一安心!あとはお風呂の時間までのんびり過ごすのみです。 ここの小屋は、雨水をためて沸かした五右衛門風呂があり、汗を流す事ができるのは本当に ありがたいこと。しかし、以前 KさんがNさんと泊まった際の、五右衛門風呂についての説 明は、 「まるで煮しめたような茶色い濁った湯で、雑巾の絞り汁に似た微妙な臭いを放っていた」 と最悪の印象で、Kさんに至っては、シャワーしか使わなかったとのこと。 私は状況によっては入らないことも考え、汗拭きシートを持参して来ていました。 本当に煮しめた湯なのかどうか確認すべく、まだ宿泊者が誰もいないことをいいことに、 Kさんと二人、風呂を覗きに行きました。 薄暗い地下に下り、ガラッと引き戸を開けてみると、風呂場は磨りガラスから入る太陽光で 明るい印象。シャワーがひとつと、真ん中にどでかい窯のお風呂が鎮座しています。 お湯の色は…多少濁ってはいますが、かなり奇麗な様子。臭いも気になりません。 これならいける!! と一旦戻り、お風呂の時間になると、一目散に一番風呂を頂きに行きました。 山小屋でお風呂に入れるなんて、本当に有り難い限りです。 お風呂の後は、本を読み、ビデオを見たりしながらのんびり休憩。 バイキング形式のおいしい夕食を終え、その日は消灯時間よりかなり早い19時半頃に寝る 事にしました。 朝4時過ぎ、物音で目が覚めたのでカーテンを開け、結露した窓ガラスを指でこすって外を 見てみると、ちょうど夜明け間近で空が赤く染まり、なんとも美しい景色が広がっていまし た。Kさんはまだ寝ていたいというので、私は1人でカメラを手に外へ。暫しご来光を堪能 しました。 朝食を食べた後は、いよいよ赤岳へと出発です。 天気は最高!風もありません。 赤岳天望荘から赤岳へは、いきなりの急登から始まります。すぐに息が上がりますが、一歩 また一歩と歩を進め、赤岳頂上山荘へと到着。360度の絶景が広がります。 横岳、硫黄岳、天狗岳、蓼科山、北横岳と八ヶ岳が北へ連なり、その遥か向こうには、槍ヶ 岳を始めとする北アルプス。御嶽山や中央アルプス。そして南アルプスが間近に見え、その 横に富士山と秩父の山々。金峰山の五丈岩もしっかりと確認できました。 こうして見てみると、行った事のある山々が本当に増えてきて感慨もひとしおです。 暫し景色を堪能していた時、ふと居合わせたカッコイイお兄さんの足元を見てビックリ。 ランニングシューズなのでした。この時間にここにいるということは…。 「トレランなんですね!カッコ良すぎる!」 と 思わず口をついて言葉を発してしまったのですが、それを待っていたかのように権現岳 方面から今朝登って来たとの事。しかも、このまま縦走し、蓼科山まで行くとか!!? 「田中陽希みてえだなぁ!」とKさん。 以前田中陽希の真似をしてこのルートを来た時には、失敗したそうで、今日はどこまで行け るか…?と言っていたお兄さんでしたが、十分スゴすぎる! 爽やかに蓼科山を目指して出発して行った健脚のお兄さんを見送り、赤岳山頂 (2,899.4m)へ到着。 これで、ようやく八ヶ岳を登ったと言うことができるようになりました。 さて、次は中岳を経て阿弥陀岳へと出発です。 赤岳からの下りはかなり険しい岩場が続きます。いかにもベテランそうなおばさま二人を 一旦は追い抜いたものの、やはり先行してもらうことにして、ゆっくり着実に下りて行きま す。文三郎尾根分岐を過ぎ、中岳へ。山頂で先行したおばさまと暫し会話。 やはり相当のベテランらしく、冬の赤岳にも何度も来ている様子で、地蔵尾根の難しさを詳 しく教えてくださいました。どうやら途中かなり危険な箇所があるようです。 冬なら文三郎尾根ピストンの方がいいだろうとおすすめしてくれました。 おばさまたちにそのまま先行してもらい、私達は中岳のコルで休憩を入れ、いよいよ岩場の 急登です。 梯子、鎖がいくつか付けられており、岩場も垂直に近い斜度で山頂まで50m以上は続いて います。Kさんについて速いスピードで登って行くと、おばさま達に追いついてしまいまし た。Kさんがおばさまに促されて先行したので、私もついて行こうとしたら、Kさんが 「ゆっくりあとから付いて来た方がいい」と言うので、私はそのままおばさまの後ろに付き ましたが、ちょっと遅い。また途中、若い女の子が相当苦心していたので、おばさま達と私 が先行。 しかし暫くすると、今度はおばさまも手こずり始めたので、私が別ルートでおば さま達を巻き、Kさんに追いつきました。そのままかなり私達が先行する形で阿弥陀岳山頂 (2,805m)に到着!! かなりの急な岩場でしたが、だんだん岩場の面白さが分かってきたようで、それ程怖さも辛 さも感じませんでした。大分成長してきているようです。 暫く山頂で景色を楽しんだ後は、また中岳を登り返して、 今回の山行課題の二つ目、 文三 郎尾根を使っての下山です。 中岳を登り返さなくても下山できる道を敢えて使わず、回り道をして下山するということで かなり体力勝負にはなりますが、来た道を黙々と戻って行きます。ようやく到着した文三郎 尾根は、おばさまが言っていた通り階段の連続でかなりの疲労が足にきます。また、道がか なりザレていて危険なので慎重に下りて行きます。 そうこうするうちに、行者小屋へと到着。先に到着していたおばさま達に「おかえりなさい 」と労をねぎらわれました。 ここでお昼をとろうと、小屋の人に案内された屋根付きのテーブルでお弁当を広げようとし た瞬間、「これからヘリが来るんで、砂埃が立つからご飯は食べられませんよ」との指摘。 そりゃ大変だ!じゃあこの先でお昼にするか。と荷物を整理し始めたところ、爆音が段々近 づいてきました。ぐんぐんヘリが近づいてきます。物珍しくてカメラに収めようとテラスぎ りぎりまで寄っていくと、半端じゃないくらいの風が吹いてきました。あまりの砂埃に建物 の影に隠れつつ様子を窺いましたが、あっという間に荷物を降ろして飛び去って行きまし た。 ものすごい迫力です!ふと見ると、汲んだばかりの水筒類はそこら中に吹き飛ばされており 風の強さを物語っていました。おばさまたちは先に小屋を後にし、私達はヘリは行っちゃっ からと再びお弁当を広げ、食べる気満々。 しかし、小屋のお兄さんから「また次来ますよ!」と再度の指摘。 時間は分からないけど、10分くらいの間隔はあるらしい。ということで、大急ぎでお弁当 をパクつきます。もぐもぐ食べていると、遠くからまた爆音が…!! 「はっ!!ヤバい!!来たかも!」とお弁当をザックにしまおうと大慌てしていると、お兄 さんが、「あれは赤岳鉱泉行きですね。また10分くらいは来ませんよ。」と教えてくれた ので、食事を再開。無事ヘリが来るまでに食べ終わりました。その後トイレに入っている 間に2度目のヘリがやってきて、小屋を出た後も数回往復しているヘリを見かけました。 こうして運ばれたものが高い山値段なのも、この光景を目の当たりにしてみれば納得です。 さて、面白い光景を見た後は、ひたすら美濃戸口まで下山です。途中でかなり前に出発して 行ったおばさま達を追い抜き、そこそこのスピードで下山できたことは、かなり驚きでし た。 二日目の縦走は、回り道をしていることもあり、体力的にはなかなかハード。単純標高差で も1,400mはあるので、おそらく累積標高差だともっとあるはずで、なかなかボリュームの ある山行でしたが、無事に終える事ができました。この経験を冬の赤岳に活かせるか…? その辺は、これからの私の精進次第ということですが、なんとか頑張って鍛えていこうと思 っています。それまで、Kさん、待ってて下さい。 今回も充実の山行、本当に楽しい二日間でした。Kさんありがとうございました! 【今回の赤岳・阿弥陀岳登山記録】   初日行動時間 4時間51分(標準タイム  4時間40分)  7:44  美濃戸口 8:35  美濃戸山荘 51(60) 10:53 〜11:30 行者小屋 2’18 (2’30) 12:30 地蔵の頭 60(65)   12:35  赤岳天望荘   二日目行動時間 7時間20分(標準タイム  7時間25分)  6:03 赤岳天望荘 6:40 赤岳頂上山荘  6:45 〜57 赤岳(2,899.4m) 45(45) 7:48 中岳    8:03 中岳のコル 1’06 (1’00) 8:28〜50 阿弥陀岳(2,805m) 25(25)    9:27 中岳    9:50 文三郎尾根分岐  1’00(1’20)   10:35〜11:01 行者小屋  45(1’20)   12:30 美濃戸山荘 1’29(1’40)   13:23 美濃戸口  53(50)  ∴ 百名山記録 16/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山    金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山    谷川岳  蓼科山  雲取山 八ヶ岳】


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