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  • 執筆者の写真junpei

木曽駒ケ岳&宝剣岳

更新日:2020年2月11日





7月の長梅雨、そして梅雨明け後は大気が不安定な状況が続き、連日30度を裕に超す猛暑が

続いていました。

早起きしても中止せざるを得ない状況を何度も繰り返し、結局8月は1度も山に行けず仕舞でした。

そうこうするうちに、毎年恒例の師匠とNちゃんとの山旅が近づいてきました。

しかし、タイミングの悪いことに台風15号が接近中。

最悪は計画を中止、他の山に日帰り登山するしかないと覚悟を決め、日曜日仕事終了と同時に軽井沢に向けて出発しました。

台風から逃げるように東京を出て軽井沢に着いてみると、やはり影響を受けて酷い雨が降っていました。しかし、当初の予報より若干東側を通過することから、中央アルプス方面は朝から急速に天気が回復するとのこと。ということで、当初の予定を1時間ほど繰り下げて、初志貫徹木曽駒ケ岳へ向かうことにしました。

さて、当然のことながら到着後は前夜祭が繰り広げられ、23時頃就寝。

翌朝は眠い目をこすりながら5時半頃出発となりました。

駒ヶ根に近づくころには、すっかり天気も回復。これは最高の眺めが期待できると嬉々として、バス、ロープウェイを乗り継ぎ、千畳敷駅に到着。最終的な判断材料だった、風もどうやら大丈夫そうで、予定通りのルートを通れそうでした。

しかし、一番予想外だったのは、かなり濃いガスが辺りを包んでいたこと。見えているはずの宝剣岳はおろか、千畳敷カールも殆ど見えませんでした。多くの登山者や観光客が千畳敷カール方面へと向かう中、私たちは今回の登山の肝、宝剣岳方面へと向かいます。

以前なら、宝剣岳なんて絶対無理だと思っていた私でしたが、今の私ならゆっくり行きさえすれば絶対に大丈夫だろうと思っていました。滑落して亡くなった人がいるような岩場で、破線ルートではありますが、標準タイムでは1時間10分という比較的短い区間。ここをクリアできれば、更に自信もつくというものです。

さて、極楽平に向けて沢を登っていきます。いつもより多少ゆっくりのペースで登り、師匠を待ちながら登っていきます。しばらくすると、4人組のおじさまグループが追い付いて来たので、先に行っていただきながら、ゆっくり歩いていると、上の方から語気も荒々しく、女性がぶうぶう文句を言っている声が聞こえてきました。かなり大きい声で怒っており、その激しさは尋常ではありません。

「怖いねん!!」「なんでこんなとこ歩かなあかんのよ!!」「1時間以上もロスしてるやんか!!!」

これは、相当いかれたおばちゃんだなぁと思って、思わず笑ってしまいました。しばらくすると二人のハイカーが登場。お?おばちゃんだと思ったけど、意外と若いなぁ。前を歩くのは旦那さん?大変だなぁーーー。などと逡巡しながら、すれ違う時に挨拶すると、旦那さんらしき男性は優しそうな気のいい方そうでしたが、女性の方は相当剣がある雰囲気。挨拶するもかなり不貞腐れた表情なのでした。

耐え切れず、二人が去った後で再び大笑い。いや~、あの旦那さん、あの弾丸トークに一言も返してなかったなぁ。おそらく、旦那さんが間違えたのか、恐ろしい破線ルートのところまで歩いて行ってしまったに違いありません。あの女性は、なんであんな危険な道を歩かせたんだ!と糾弾していたところだったのでしょう。確かに、普通の人は宝剣岳を登るのは無理。パンフレットにも当然のことながら宝剣岳へのルートの記載は一切ありません。それにしても、面白い関西人でした…!!

さて、そんな事件がありつつも、いよいよ破線ルートの始まりである三ノ沢分岐までやってきました。丁度私たちが到着して間もなく、休憩していた先行のおじさまたちが宝剣岳へ向けて出発。霧の合間に見える崖っぷちを鎖伝いによじ登るおじ様たちを横目に、暫し休憩です。ストックをしまい、いよいよ核心部分に突入!!

「気合い入れて行くぞーー!!」の掛け声に「おーー!」というNちゃんの頼もしい声を背後から受け、急斜面を下っていきます。すぐさま鎖が出現。鎖と岩を頼りに一歩一歩登っていきます。全体的にかなり幅の狭いギザギザの岩場で、切れ落ちており、足を踏み外せば奈落の底です。ガスが立ち込めている分、多少視界が遮られ若干高度感は薄れているのかもしれませんが、それでもかなりの緊張は強いられました。しかし、危険なところにはほぼ鎖が付けられていることが救いです。私が先頭なので、今回は絶対に「怖い」という言葉を発しないと心に決めてここに臨んでいました。何度も、「怖い!」という言葉を飲み込み、「西穂高岳に比べたら屁だ!!」と自らに言い聞かせ、慎重に進みます。

その後もいくつかのピークを越えて行きますが、怖かったのはやはりトラバース部分。

足場は狭く、また一歩を大きく踏み出さなければ届かない箇所もあったりで、かなり神経を使いながら三点支持で進みます。途中安全なところや、×ポイントのある部分では後続の師匠とNちゃんを待ちながら、着実に進んでいきます。

最近は少々お疲れ気味の師匠。この破線ルート通過も、もしかしたら大分時間がかかるかもしれないと懸念していましたが、さすが昔取った杵柄でNちゃんにアドバイスを送る余裕も見せてくださいました。

途中千畳敷カール方面が開ける箇所に出くわしながら、かなり高度が上がってきたな。と思ったら、眼下に宝剣山荘が見えてきました。あれ!?ピーク、どこだったんだろう??なんと、あともう一歩で山頂というところでどうやらポイントを見逃したらしく、降りてきてしまったのでした…。ガスが立ち込めていたとは言え、よくよくマークを見落とすまいと注意していたつもりでしたが、やってしまいました(笑)そそっかしい私のやりそうなコトです。とは言え、ほぼほぼ山頂を通過してきたということで、登ったのだ!!ということにしておきます!!(笑)

さて、今回の登山の肝部分は終了で、この山行の70%は終了したと言っても過言ではなく、かなり気の抜けた状態で宝剣山荘のテーブルでお昼を食べました。

その後中岳へ向かうべく登山道へと戻った頃なんと向こうからさっきの二人とすれ違いました!!えーー??どこから来たの??と思いましたが、そうか、あの道を千畳敷まで戻り、木曽駒まで行って戻ってきたに違いありません。すれ違った後で振り返り、二人に合図すると、二人も驚きつつも笑っていました。山頂まで行って、彼女の機嫌が直ったことを祈ります(笑)

その後相変わらずガスは晴れず、中岳を越えて木曽駒ケ岳に着いても、視界はあまりありませんでした。しばらく山頂で粘ってみたものの、一向に晴れる兆しがなかった為、そこから5分の頂上木曽小屋へ。

小屋のお姉さんもおじさまも、とってもご親切!!お部屋の一番奥に近い場所をあてがわれ、その後ビールと師匠が背負ってきた焼酎でまずは乾杯。

その日小屋は団体客が20名弱と個人客が10名ほどで、なかなかの混雑ぶりでしたが、比較的快適な小屋だった為、睡眠も十分とることができました。

夜になっても抜けなかったガスでしたが、夜中の3時頃にトイレにいったついでに外に出てみると、なんと!!満天の星空なのでした!!

ちょうど東の空にオリオン座が上ってきたところで、小屋の玄関前である南は秋の空が広がっていて若干暗め。南から西の方へ眼をやると、天の川が西から東に向かって美しく見えていました。天の川の中に沈みかけた白鳥座。北の空にはカシオペア座やぎょしゃ座。その横にはおうし座。プレアデス星団、所謂すばるも光り輝いています。時の経つのも忘れ、心奪われ星空を見つめている間に流れ星が3つ。しばらくすると、一人のおばさまがやはりトイレのついでに外に出てきました。暫し言葉を交わし、プチ星空教室です。

その後1時間ほど眠り、4時半。一度小屋の電気が点灯し、大半の人たちはご来光を見るために身支度を始めました。5時過ぎ、まだ若干暗い中山頂へ。

夜中あんなに晴れていたのに、再びガスが発生し、辛うじての日の出となりました。真っ赤な太陽は、鳳凰三山と北岳の間から顔を覗かせ、写真で見るとオベリスクのシルエットが映っていました。せっかくのご来光時に周辺の山を隠してしまったガスでしたが、そのおかげで見えたものがありました。太陽の光の環です。おそらく、これは「暈」に近い現象なのではないでしょうか。本当に美しい光の環なのでした。

十分ご来光を楽しんだ後は、小屋に戻っておいしい朝ごはんを頂き、一番最後に小屋を出てゆっくりと山頂へと向かいました。

既に小屋を出た人たちはおらず、完全に山頂は貸し切り状態。しかし相変わらずガスは完全には抜けていない為、遠くの山々は曖昧な輪郭しか把握できませんでしたが、昨日は見えていなかった宝剣岳はその全貌を見せていました。

一旦馬の背まで下りてから頂上山荘へ向かい、中岳を登り返すとその刺々しい岩山は眼前にそびえ、なかなかの風格でこちらを威圧してきます。

あのギザギザを昨日通って来たんだなぁと思うと、よく歩けたな。と我ながら感心。

振り返れば見納めの木曽駒ケ岳がのんびりとその稜線を見せていて、名残惜しい気持ちでゆっくりと景色を楽しみ、宝剣山荘へと下りました。

そこから伊那前岳への稜線を少し進み、乗越浄土から宝剣岳を東に巻くかたちで千畳敷カールを下りていきます。やがて始発のロープウェイから降りた大勢のハイカーが、数珠つなぎで登ってくる姿が見え始めました。たくさんの人とすれ違う度に仰ぎ見る宝剣岳は、ゴツゴツで、ギザギザで、やっぱりカッコイイ。自分が通った岩場がどこだったのか、その稜線を目で辿ります。そして、締めくくりは剣ヶ池。ここで逆さ宝剣岳と千畳敷カールの定番の風景を堪能し、今回の木曽駒ケ岳&宝剣岳の山行は終了となりました。


その後上田の温泉に入って地酒を調達。パパっとあるもので料理を作り、ある意味これがメインとも言える打上げへと突入しました。

仕事終わりで宇都宮から駆けつけてくれたMちゃんも加わり、なんとも楽しい宴となりました!!

今回も、本当に楽しい山旅でした。

毎回快く別荘を開放してくださる師匠、そしてNちゃん、久しぶりの再会が嬉しかったMちゃん、本当にありがとうございました♪

また、みんなで山に行きましょう!!





宝剣岳ってこんなところです↓(参考に)



【今回の木曽駒ケ岳&宝剣岳登山記録】  

 【1日目 】  行動時間 4時間(3時間)

10:04 千畳敷

 10:42 極楽平 38(30)

 10:56~11:12 三ノ沢分岐 14(15)

 12:24~12:47 宝剣山荘 72(70)

 13:03~13:13 16(15)

 13:18 頂上山荘 5(10)

 13:40~13:56 木曽駒ケ岳(2956.1m) 22(20)

14:03 頂上木曽小屋 3(10)


 【2日目】   行動時間 3時間7分 (2時間15分)

 6:40 頂上木曽小屋

 6:49~6:52 木曽駒ケ岳 9(20)

 7:10 馬ノ背 18(15)

 7:26~7:35 頂上山荘 16(15)

 7:50~8:05 中岳 15(15)

 8:18 宝剣山荘 13(10)

 9:24~9:44 剣ヶ池 66(60)

 9:47  千畳敷 

 

∴ 百名山記録 32/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山   金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山  谷川岳  蓼科山  雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳  甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳 両神山 鳥海山 霧ヶ峰 那須岳 至仏山 安達太良山 木曽駒ケ岳】





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