top of page
  • 執筆者の写真junpei

富士山〜雪上訓練〜



超人的な身体能力を持ち合わせ、パワフルで更にその行動はある意 味狂人(本人から言わせれば、仁義なき戦い〜広島死闘編の大友勝 利ばりということかも笑)という恐るべきKさんとの山行で、眠って いた狂人的な本質が半ば目覚め始めつつある私ですが、いよいよそ んなKさんとの登山も今回が今年の総括となりそうです。 そんなKさんと向かった先は、富士山。 某M社主催の雪上訓練に参加するか否かを悩んでいた私達でしたが まあまあのお値段。今年の冬硫黄岳で見かけたものすごく感じの悪 い講師の姿が目に焼き付いていた私は、何となくそういった見知ら ぬ講師が催す講習会というものにあまり気乗りがしません。 しかし、今後赤岳等、難しい冬山に挑戦する為に雪上訓練は欠かせ ないミッションです。 そこで、講習会同日にこっそりこちらも雪上訓練会を実施、彼らが 教わっている事を耳をダンボにして盗み聞こうという魂胆で予定を 立てました。←姑息(笑) しかし、天候があまり良くないとのことで一日前倒しで決行するこ とに。5合目にある佐藤小屋の最新情報では、小屋周辺も積雪があり 7合目はカチカチのアイスバーンでスケートリンク状態とのこと。 しかも小屋までの道は、トレースがない可能性もあるらしく、もし かしたらラッセルしなければいけないかもしれません。 講習会の人達が入山するのは私達の後からなので、いよいよ初ワカ ン装着でラッセルトレーニングか…? 等と、恐れていたのですが、吉田口の馬返し駐車場に着いてみると 積雪は皆無! これは、ワカンの必要性はなさそうです。ということでひとつアイ テムが減りながらも、完全冬装備で肩に食い込む重さのザックを背 負いつつ、いよいよ5合目目指して出発です。 順調に高度を上げ、比較的楽に5合目にある佐藤小屋に到着。 しかし、雪はどこへ…??まったく見当たりません。 せっかく雪上訓練の為にやってきたのに、これでは来た意味がない …。ってことは、雪のあるとこまで登るってこと…? …まじか…。 だんだん気持ちが萎えて行きます。 実は前日に前々から入っていた呑み会があり、どうしても予定を変 更する事ができず、登山前日ということは重々承知の上で、ついつ い深酒してしまったという経緯があり、睡眠時間3時間というかな りの寝不足でこの日を迎えていました。朝2時半に起床した時には、 全く酔っている感じはありませんでしたが、やはりボケていて、大 事な時計とカメラを持ってくるのを忘れる始末。よって、この日の 撮影は全てKさんのもの。しかし、完全冬装備で何か作業しようにも アウターのゴワゴワした手袋を外さないと何もできない状態で、相 当フラストレーションは溜まり、その上気持ちが萎えていて、撮影 したいという気持ちすら失せる状況。おそらく自分のカメラがあっ たとしても撮影する余裕はなかったかもしれません。 そんな状況もあって、小屋付近で雪上訓練ができるものと信じ込ん でいた私にとっては更に追い討ちをかけるかのような辛さ…。精神 的なダメージは相当なものでした。 山頂方向を見上げると、かなり上まで行かないと雪は無い模様。 致し方なく、小屋でアウターパンツを履き、ゲイターを着用して上 へと向かいました。 気持ちが萎えている分、歩はなかなか進まず、森林限界を超えると それまで全くと言っていい程の無風だったにも関わらず、かなりの 強風が吹き荒れいて更に気持ちが萎えるという有様。積雪のある稜 線を仰ぎ見ると、雪煙が見えました。 富士山は独立峰で、風を遮る山が他に無いため、風が強いのは当た り前。しかし、この風の音がこれまた非常に恐怖感を煽るのです。 しかも、寒い…!! ウエアのフードをすっぽり被り、ネックウォーマーを目の下まで引 き上げ、登って行きますが、やっぱり辛い…。 「もう帰りたい」とぼやく私にKさんは「根性出せ!」と叱咤激励。 その言葉を頼りに、一歩一歩踏み出します。しかし、しんどい…。 それもそのはず、登山開始から始めて、1,300m登ってきたのです。 疲れて当然です。 雪上訓練とか、もうどうでもいいから早く帰りたい…。と半ば心が 折れかけます。心が折れそうな「この感じ」。かなり久々です。 そう。去年の夏火打山・妙高山縦走で行動時間14時間半という拷問 登山を経験した時の「あの感じ」と一緒です。 途中アイスバーンが頻繁に出現し始めた為、アイゼンを装着、そう こうするうちに花小屋まで到着しました。ここから先は完全に雪の 世界です。やっと着いた…!!! はっきり言ってもう訓練とかどうでもいいけど、その為にやってき たので、やるしかありません。 小屋前で装備を整え、雪上訓練の開始です。 フラットフッティングとステッピング、スリーオクロック、ダック ウォーク、フロントポインティング、ダイアナゴル等々…。 今までの雪山では使った事の無い、急斜面でダガーポジションを使 いつつフロントポインティングでの上り下りに関しては、これがで きないと、赤岳のような急斜面がある山には登れないので、コツを 掴むことができかなりの収穫。 最後に行った滑落停止に関しては、もっともっと練習が必要だと感 じさせられました。 結局のところ、滑落してしまったらおしまいで、いくら滑落停止を 試みたところで一旦滑り出したら止まらないというのが常識。 要は、転ばない、滑落しない。というのが大前提。これはまだまだ 比較的易しい山で訓練を重ねる他はありません。 さて、1時間程訓練したところで、いよいよ下山となりました。 アイゼンを装着したままザレ場を歩くと、意外とグリップが効いて 歩きやすいので、ひっかけに注意しながらしばらくはそのままの歩 行。その後六角堂まで降りようとしますが、どうも道が違っている らしい。全てがザレ場で景色も変わらないので、ルートがイマイチ 掴みづらい。しかも、閉山後は標識が撤去されているらしく余計 にわかりにくいようです。六角堂を頼りに、Kさんが大胆に道なき道 をトラバースしていき、ようやく正式なルートに戻る事ができまし た。おそらく、あのまま進んでいたら須走口方面に歩いて行ってい たと思われ、ただでさえ閉山後で小屋は全て閉まっている状況なの で、佐藤小屋まで戻れなかったらエライこと。アイスバーンに足を 取られないよう細心の注意を払い、5合目佐藤小屋まで戻ってきまし た。ここでようやくお昼ご飯。サーモスに詰めた熱々のお湯でカッ プラーメンを食べ、ほっと息をついた頃、 例の講習会参加の方々が やってきました。講師は女性で、生徒が3人。しかし、この雪の無 いところで、どうやって講習会をするのでしょうか。ここから500m 登らないと雪上訓練はムリだけど…。 やっぱり申し込まなくて良かったのかも。と思いつつ、暫し皆さん とお話した後で我々は下山開始です。 1合目を過ぎ、ようやく馬返し駐車場まで着いた頃には辺りはかなり 薄暗くなっていました。それもこれも、雪がなかったせい!! 当初の予定より、相当ハードなトレーニングとなり、今年のKさんと の様々な山行の中でも〆にふさわしいものとなりました。 今年も、Kさんとは沢山の山に行きました。全てが貴重で、楽しい、 素晴らしい登山でした。ありがとうございます! 来年もまたスキルアップを目指して一層精進しますので、よろしく お願い致します。 【今回の富士山登山記録】   行動時間 9時間48分※雪上訓練時間含む (標準タイム  7時間50分)    6:38 馬返し駐車場 6:55 1合目 17(15) 7:24 2合目 29(40) 7:46 3合目 22(15)    8:57〜9:20 佐藤小屋 1’11 (1’15) 11:57〜12:34 花小屋(2,700m) 2’37(1’45)           雪上訓練(2,760m付近) 13:12〜13:22 下山道出口 38(60)   13:55〜14:39 佐藤小屋 33(25)   15:23〜15:32 3合目 42(50)   16:05 1合目 33(35)   16:16 馬返し駐車場 11(15) ∴ 百名山記録 19/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山    金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山    谷川岳  蓼科山  雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳 甲斐駒ケ岳】


閲覧数:8回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page