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無事帰還!〜不帰嶮〜

  • 執筆者の写真: junpei
    junpei
  • 7月27日
  • 読了時間: 13分

更新日:8月2日




いよいよ今年も目標夏登山がやってきました。

7月は毎週山に向かってはいたものの、体力不足は否めない為、このロングルートを本当に登り切れるかという不安に苛まれていました。

日曜日の朝、あずさで白馬駅へ。長野からバスでアクセスしたNちゃんと駅で落ち合い、バスで猿倉へ向かいます。

以下、今回の行程です。

大雪渓で白馬岳頂上山荘、白馬岳山頂を踏んでから杓子岳、白馬鑓ヶ岳と白馬三山を通過し、天狗山荘。そして最終日は天狗の大下りを経て最大の核心部、日本三大キレットの不帰嶮へ。その後唐松岳から八方へと下りるというなかなか壮大なコースです。

白馬岳を登頂した後、一気に唐松山荘まで行くということも考えましたが、時間的に不帰嶮辺りで渋滞が予想されることや、体力があるうちに核心部を抜けたい等の理由から、天狗山荘に泊まって朝早い時間にキレットを通過できた方が安心だと考えました。

しかし、雪が少なくて大雪渓が通行止めになった昨年とは違い、今シーズンは雪が非常に多く、7月上旬の情報では厳冬期仕様の前爪のあるアイゼンが必要とのこと。岩場を通過するためになるべく荷物は最小限としたいけれど、大雪渓を通るなら本格的なアイゼンも必要になってくるので、まずはNちゃんへ打診。

しかし、やはり頑なに冬山を拒絶するNちゃんはアイゼンが必要ならば他のルートで…とのことだったので、栂池から入るコースも視野に入れ、白馬大池山荘を仮押さえすることにしました。

しかし、栂池からのコースも途中の乗鞍岳を通過する際に最低でも8本爪は必要とのこと。そこで軽アイゼンと同じくらいの重量だった前爪ありの10本爪アイゼンをモンベルで即買いし、あとは現地情報を見つつ、最終的にはNちゃんにどちらを選択するか決めてもらうことにしました。

猛暑続きで徐々に雪渓も融けだしたらしく、ギリギリには大雪渓も8本爪以上推奨に変わり、Nちゃんが当初の予定である大雪渓コースを選択すると回答してきてくれました。

Nちゃんは以前白馬岳を登った際にも大雪渓を通過しているとのこと。経験値のあるNちゃんがいてくれることは心強い限りです。

まずは前乗りだった初日、猿倉荘でルート上の話を色々聞きつつまずはビールで乾杯し、翌日からの山行に備えました。運良く部屋も二人だけで使えることとなり、ゆっくりと過ごしました。 翌日は4時起床、5時に猿倉荘を出発。

厳選した荷物だったはずでしたが、かなり重いザックを背負い、林道を進みながら1時間程で白馬尻小屋(テント場)へ到着。いよいよこのあとから大雪渓が登場です。下から見上げると延々と雪渓が続いており、その斜度もかなりのもの。こんな急斜面、本当に登れるんだろうか!?と不安になります。

アイゼンを装着し、ヘルメットを被っていざ出発です。雪質はやはり残雪期特有のグサグサの雪。しかしベンガラで示された安全ルートは、混雑時には蟻の行列よろしく数珠繋ぎとなって登山者が踏み固めてくれているせいで、比較的足場はしっかりしており、思った以上に歩きやすい状態でした。斜度がかなりあることから、ゆっくり着実にキックステップで登っていきます。

雪渓上はひんやり冷えた空気が吹きおろし、本当に涼しくて気持ちが良い限り。ただ、時折聞こえる落石の音に肝を冷やします。どうやら右岸方面のガレた場所から小さい石が落ちている様子。ルートは大雪渓のほぼ中程を通っていることから、ここまでは来ないだろうとは思いましたが、雪渓上に落ちている石の殆どが今シーズン上から落ちてきた落石とのことで、やはり油断はできません。





しばらくすると、一旦雪渓から離れるポイントまでやってきました。アイゼンを脱ぎ、夏道へ。小さなピークを過ぎると、再び雪渓上にベンガラルートが現れました。再びアイゼンを履き、ゆっくりゆっくり登っていきます。

Nちゃんが以前登った時には、雪は少なく、あっという間に雪渓部分は終わって残りは夏道で登ったとのこと。しかし雪渓を歩く方が格段に楽に登れそうで、今年は雪が多くてかえって良かったのかもしれません。

この頃には気温が上昇しているせいか、雪渓特有のガスが発生し始めていました。かなり高度が上がってきた頃です。今度は左岸方面からかなり大きな音が聞こえてきたので、ハッとして見上げると一抱え程のかなり大きめの石がものすごい勢いで転がり落ちていきました。思わず「ラク!!」と声を上げてしましました。恐ろしい…!!あんなのに当たったらひとたまりもありません。

さて、だんだん岩室っぽいところが見えてきて、大雪渓もいよいよ終了となり、夏道へと入ります。暫く登ると、またもや雪渓ゾーンが見えてきました。ここが小雪渓のようです。雪渓をトラバースする形で10m程を歩くだけですが、ここから滑り落ちたら一貫の終わり。

アイゼンを着けずにおっかなびっくり歩いているおじさまもいましたが、私は面倒でも安心して歩きたいので早速アイゼンを装着。

無事にトラバースし終わると、Nちゃんが「見てください!!ヤバくないですか!?」と雪渓の終わりの部分を指差しました。なんとルートの真下が空洞になっており、時間の問題で間違いなく踏み抜くであろう危険箇所でした。

うわ〜知らぬが仏とはこのこと!何もなくて本当に良かった!

アイゼンを脱ぎ、避難小屋で沢水を汲み、残り2時間を頑張って歩いていきます。が、しかし、雪渓まではなんとか元気に歩いていたもののここからの道が地味にキツイ!!約400m程の急登です。すぐに息は上がり、少し歩いては休憩を入れの繰り返し。ほとほと自身の体力のなさに嫌気がさします。それでも、途中沢山のお花たちに癒されながらゆっくりゆっくり登り、なんとか白馬岳頂上山荘へと到着!!




先に到着していた単独のおばさまとおしゃべりをしながらお昼ご飯を食べ、受付開始時刻までのんびりしました。本当にヘトヘトで、これ以上登るなんてもう無理というくらい疲労困憊でした。以前Nちゃんが登った時は途中から雨が降り、もうひとつ上の白馬山荘まで登ったそうで、そんな悪天候の中登ったとは心から尊敬…!!

さて、受付を済ませ部屋に行ってみると、先程の素敵なおばさまと一緒のお部屋でした。お話を聞いていると、三大キレットは勿論のこと、シーズンに2回は岳沢ルートで奥穂に登っているそうで、なんとジャンダルムも行ったことがあるとか…!!とっても楽しくて素敵なおばさまで、ついつい会話がはずみます。夕方お部屋にやってきたこちらもベテランの単独のお姉さんがこれまた素敵!短い時間ではありましたが、広いお部屋をこの4人で楽しく過ごすことができて幸せでした。

翌朝全員がほぼ同時刻に行動開始し、素晴らしい天気の中白馬岳へ向かって歩いていきます。展望ポイントで日の出を堪能した後で白馬岳山頂(2,932.3m)へ。360度の大展望です。西側には剱岳と立山が見えていました。遠くには槍ヶ岳も見えています。登った山が一望できるというのは、これまた感動的です。

山頂付近で再びお会いしたお姉さんとお別れし、一旦小屋に戻ってご飯を食べた後、おばさまともお別れしました。

我々はこの日は天狗山荘まで行くだけなので、とにかく体力温存でゆっくりゆっくり休みながらの歩行です。

途中稜線からは、剱岳と立山がお供する形でずっと見えていました。なんて贅沢な眺めなのでしょうか。そしてお花も沢山咲いていて、とにかく素晴らしいことこの上ありません。

小屋を出て丸山から一旦下り、100m弱のガレガレの急登を経て杓子岳へ到着。一旦コルに降りてからザレた道を再び150m程登ると鑓ヶ岳です。これで白馬三山を制覇しました。



鑓ヶ岳を後にし、天狗山荘へ。なんと小屋前は雪が残っていて慎重に下り、無事に小屋へ到着。平日だったせいか小屋も混んではいないらしく、こちらも一角を二人だけで使用して良いとのこと。有り難く広々とお部屋を使わせてもらい、着替えて早速乾杯です。


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なんと生ビールもあった為、山値段ではありますが注文しました。

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うどんとビールですっかり良い気分になった為、翌日に備えて昼寝をし、休養します。夕食後はすっかり太陽が沈むまで夕陽を見届けてから、いよいよ迫ってきたメインイベントの為就寝となりました。

しかし、岩場のこと、体力のこと、一番心配なトイレ問題と考え事をしていたらなかなか眠れなくなってしまいました。そしてようやくうとうと眠ったと思ったら12時頃に目が覚め、そこから全く眠れなくなりました。こうなったらもう諦めるしかありません。とにかく目を閉じて、少しでも休養しようと悶々と時間を過ごします。結果的に睡眠時間2時間程で起床予定より30分程早く起き上がり、静かに準備を始めました。その後食堂に移動し、朝弁当を食べ、ほぼ予定通りに4時頃小屋を出発しました。

まだ薄暗い中稜線を歩き始め、天狗ノ頭を過ぎて暫く行った辺りで日の出となりました。剱岳のモルゲンロートを見ながら道はだんだん核心部へと迫っていきます。




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すると、急にNちゃんがトイレに行きたいと言い始めました。去年の私もヤバかったけど、今年Nちゃんが催したポイントもこれ以上は無理だろうという核心部一歩手前のギリギリのポイントでした。とりあえず事無きを得て戻ってきたNちゃんでしたが、なんと自分のウ◯コを撮影してきたというから衝撃です(笑)

実は、私が敬愛するウ○コの伊沢さんをNちゃんに紹介して以来、Nちゃんも私に影響され伊沢さんの信奉者(?)となっていたのでした。私は関野吉晴さんのこの動画を見て伊沢さんを知ったのですが、伊沢さんの本がこれまた抱腹絶倒の面白さ!本を読んでからは、私も外でウ○コをすることに抵抗がなくなりました。(←いいのか!?)

去年、関野さんが作った「うんこと死体の復権」という映画には、衝撃的なみなさんのブツが惜しげもなく披露されているのですが、これにあやかって写真を撮ったというNちゃん、変態です(笑)

でも、私は今まで数えきれないほど地球にブツを還してきましたが、Nちゃんはなんと今回が初だったようで、「それはまぁ、記念だね(失笑)」ということになりました。

さてさて、尾籠な話はこれにて終了(笑)


このウ○コ事件を無事にやりすごした後、すぐに天狗の大下りという看板が出てきました。

ここで準備を整えていると、後ろから速そうな男性がやってきました。先に行ってもらおうと思ったら、その男性も休憩を始めたので、「私たち遅いんで…」と話すと、とても良い方で、「全然気にしなくていいですよ!ここからは緊張を強いられる場所ばかりですから、慎重に行きましょう!」と言ってくださり、一安心。

いよいよ核心部を下って行きます。

ところが、のっけからいきなり難易度の高い鎖場です。岩はツルツルと滑り、しかも足場がなかなか見つからず、何回かやり直しをしながら、ようやくクリア。最初の鎖だけで息がゼエゼエと上がり、汗が吹き出しました。その後つづら折りにザレ場を下りていくと、今度はめちゃくちゃ長い鎖が出現。こちらも慎重に足場を確かめながら下りていきます。鎖場が終わったところで、道を間違えやすい箇所へ到着。ここは真下に下りるのではなく、左方向へ巻き気味に下りていきます。暫く足場の悪い箇所をどんどん下って下って…。およそ300mの大下りが終了し、最低コルまでやってきました!!やれやれです。

とりあえず最初の難所はクリアしました。その後岩場はまだ続いており、息が上がるのでその度に息を整えながら、1峰を通過。ここは難なくクリア。そしていよいよ聳え立つ2峰北峰の前にやってきました。ここで小休止。



後ろから速そうな方が二人いらっしゃったので、先に行って頂くことにし、後から続きます。まずはほぼ岩を直登。その後はトラバースと直登を繰り返していきますが、鎖がほぼあり、足場もしっかりしているのでそれ程怖いところはなく、ただただ息が切れるばかりで休み休み先へと進んでいきます。やがて左に向かってトラバースが続くと、この2峰の名所とも言えるアングルブリッジが見えてきました。完全に切れ落ちた崖の間にあるこの橋ですが、ここもそれほど恐怖を感じることなく通過。ここを過ぎると、一旦岩峰の裏側へと巻いていき、核心部はほぼ終了です。その後再び岩場が出現するものの、先程の高度感もそれ程なく2峰北峰へ到着しました!!ここで休憩を挟み、南峰へ向かいます。

これでほぼ難しい岩場はクリアしたものの、まだまだ岩場は続く為気を抜かずに進みます。

とにかく息が上がり、少しずつしか進めないものの、岩場を順調にクリアし南峰へ。

いよいよ残すところ3峰のみとなりました。

九十九折りの道を下り、3峰の西側を巻く形であとは唐松岳への登りを残すのみです。ゆっくりゆっくり山頂へ向かいます。

そして、ついに唐松岳(2,695m)山頂へ到着!!



山頂へ来たのは以前師匠やMちゃんKちゃん、そしてNちゃんたちと一緒に登った時以来。ブログで確認してみたら、なんとちょうど10年前でした。あの時は日帰りで唐松岳に登ったのだから、やっぱり若くて元気だったのだなぁと改めて感じました。

前回Tさんと五竜岳に登った時は、唐松山頂には寄らず八方へ下りたので、本当に久しぶりにこの山へやってきました。思えば、この唐松岳で初めて剱岳を目の当たりにし、感動したのだったなぁと感慨深くいろんなことを思い出していました。

そんな自分がやがてその剱岳にも登り、この恐ろしい不帰嶮にも来られたなんて…。信じられないような気持ちと、誇らしいような気持ちでいっぱいでした。

暫く山頂を楽しんだ後は、唐松山荘で休憩し、八方へと下山。

次から次へと登ってくる登山者とすれ違いながら、唐松岳の人気の高さを実感しつつ地味に長いこの八方尾根に辟易しました。ようやく尾根を下りきり、ゴンドラに乗った時の幸福感はもちろん筆舌に尽くし難いものがありました!!

YAMAPによれば、総距離22.6km、累積標高差↑2,907m ↓2,316と去年の奥穂よりももっとキツイ内容だったらしいです。


八方池では残念ながらガスで私たちの歩いた軌跡を眺めることはできませんでしたが、素晴らしいお天気に恵まれ、最高の山行となりました。

その日は八方のホテルでNちゃんと打ち上げ。翌日の朝早く、無事に帰宅しました。

今回、本当に自分の体力の衰えを如実に感じざるを得ない山行にはなりましたが、怪我もなく、無事に難所をクリアできたのも全てNちゃんのお陰です!!

山行中どれ程心強く思ったかわかりません。本当にいつもいつもNちゃんありがとうございます!!

そして、素直に、わたしたちめちゃくちゃ頑張ったよね!!

また、楽しく山にご一緒しましょう。


不帰嶮ってこんなとこ↓





【今回の白馬岳〜唐松岳登山記録】   

 

初日行動時間 6時間49分(標準タイム 5時間30分)  

■山行タイム 5時間49分

5:03 猿倉荘 

6:02〜6:17 白馬尻小屋 59(60)   

9:19〜9:31 岩室跡 2’02(2’30)  

11:49  白馬岳頂上宿舎 2’18(2'00)


二日目行動時間 7時間33分(標準タイム 3時間40分)

■山行タイム 5時間31分

4:13 頂上宿舎

4:45 白馬山荘 28(20)   

5:16〜5 : 31 白馬岳 30(15)

5:57〜7:18 頂上宿舎 26(15)

8 : 46〜9:25 杓子岳 1’28(60)

10 : 38〜11:04 白馬鑓ヶ岳 1’13(60) 

12:02 天狗山荘 58(40)


三日目行動時間 9時間38分(標準タイム 8時間25分)

■山行タイム

4:05 天狗山荘

4:27〜4:36 天狗ノ頭 22  

7:09〜7:20  不帰キレット 2’33【2’55】(2’00)

8:13〜8:30  不帰2峰北峰 57

8:39〜8:45 不帰2峰南峰 9 

9 : 24〜9:50 唐松岳 1’34【2’40】(3’00)

10: 03〜10 :50 唐松山荘 13(15)

11 : 22 丸山ケルン 32

12:58〜13:10 八方池 1’36【2’08】(2’00)

13:41 八方山荘 31(60)



∴ 百名山記録 54/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山   金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山  谷川岳  蓼科山  雲取山  八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳  甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳 両神山  鳥海山 霧ヶ峰  那須岳  至仏山  安達太良山 木曽駒ケ岳 御嶽山 会津駒ケ岳  燧ケ岳 五竜岳 苗場山 平ヶ岳 間ノ岳 鷲羽岳 磐梯山 西吾妻山  薬師岳 乗鞍岳  立山  早池峰山 剱岳  槍ヶ岳 甲武信ヶ岳 武尊山 高妻山 穂高岳 八幡平白馬岳】 


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