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  • 執筆者の写真junpei

燧ケ岳




待ちわびていたこの日が、ついにやってきました!

いよいよ本格的登山始動です。

Nちゃんを誘い、どの山に登るか検討したところ、尾瀬一帯の登山道閉鎖が7月から解除になるとのことで、前から行ってみたかった燧ケ岳に登ることにしました。

一部閉鎖の小屋はあるものの、尾瀬沼にある長蔵小屋は営業開始。懸念していた予約状況も、かなり余裕がある様子。しかも、コロナ対策で、通常相部屋なのを個室として使用することができるそうで、なんとも贅沢!!梅雨時期ということで、なるべく天気が良さそうな日を選び、最終的に(日)に登ることになりました。

休みを取り、前日の午後宇都宮に前乗りしました。都心に向かうのも実に3ヶ月以上ぶりのこと。東京駅は週末にしてはかなり少ない人出で、駅のホームも未だまばら。新幹線はガラガラといった状況。やはりまだまだ通常よりは移動する人も少ないようです。

今回はそういった状況もあって、寮に宿泊することができなかったので、Nちゃんの家に泊まらせていただくことになっていました。買い出しをし、お風呂に入って、乾杯!!

リアル飲み会も、これまた3ヶ月以上ぶり。当たり前だと思っていた日常のいかに尊いことか!!ついつい楽しくて、早く寝なければいけないところ大分深酒をしてしまいました。

翌朝2時起床。3時に檜枝岐村へ向け出発しました。

今回目指す登山口は、檜枝岐村の御池。燧ケ岳は、どこから入ってもかなりロングルートなのですが、一番ポピュラーな登山道となっている北側から入るルートを歩きます。山頂まではコースタイムで4時間。しかし、尾瀬沼までは等高線の緩い長英新道が続いているので、勝負は山頂までと予想していました。

1/25,000で確認すると、途中出現する2ヶ所の湿原の手前と、山頂直下が特に急登となっています。3ヶ月間、引きこもりで体力が大幅に落ちていることもあるので、無理をせずゆっくり進むことにし、まずは一つ目の広沢田代目指してスタートしました。

平坦な登山道からすぐに急登が始まりました。まずは150m程の急登です。すぐに疲労を足に感じ、息が上がります。こんなことで最後まで歩くことができるのかと、不安がよぎりますが、とにかく、頑張るしかありません。段々斜度がゆるくなり行く手が開けてきました。

広沢田代です。ところどころに池塘が見え、広々とした湿原を見渡しながら一息つきます。

続いてすぐに2番目の急登が始まりました。わずかな傾斜も敏感に感じとってしまう程、疲労はどんどん足に蓄積していきます。途中立ち止まって呼吸を整えないと先には進めません。我ながら極端な体力レベルの低下に情けなさを痛感しながら、いちいち気合を入れ直して先へ進みます。傾斜が緩み、一気に目の前が開けました。広沢田代より更に広さを増した湿原、熊沢田代です。休憩を取ろうとベンチに荷物を下ろすと、トレラン用の極小ザックを背負った男性が山頂方向からやってきました。気さくな方で、暫しお話していると、彼は驚異的なスピードでピストンしてきたらしく、なんとまだ時間があるからこれから会津駒ケ岳に登るとのこと!!田中陽希ばりの健脚っぷりに、世の中にはすごい人が沢山いるんだなぁと感心しきりなのでした。

さて、ここから山頂まではあと350m程。特に山頂直下の等高線はえぐい程の混み具合となっていて、覚悟が必要です。やってきた急登に筋肉の疲労を感じつつ、暫くじわじわ登っていくと、目の前に雪渓が出現しました。見上げるとかなり先までずっと雪渓が続いています。斜度がかなりある為、これは最初からチェーンスパイクを履いた方が良さそうだと判断。お互いスパイクを履いて、いざ、雪渓へ。急登をおよそ130m程登ると、雪渓が続く沢を横目に巻道へと入るポイントがありました。ここでスパイクを脱ぎます。登山道はいつの間にか森林限界を超え、岩が増えてきました。山頂が近づくと、急激に風が強くなってきました。ゴツゴツした岩場を抜けると、ようやく俎嵓へ到着!!風が強く、とても留まっていることが出来ない為、写真を撮ってすぐに柴安嵓へ向かいます。一旦50m程下り、山頂まで登り返しますが、この辺で本当に気持ちが折れそうになる程疲労のピークを迎えていました。岩場の為、段差があり、その1歩を踏み出すのに心の準備が必要でした。足は上がらず、一歩一歩力を振り絞って歩きます。一歩登っては息をつき、フラフラになりながら、登り詰め、柴安嵓(燧ケ岳山頂2,356m)にようやく到着!!この俎嵓から柴安嵓までの登りは、ここ最近の中でもかなりの上位にランクインする程の厳しさでした…!!

山頂は相変わらずの爆風で、眺望も全くない為すぐに下山を開始。俎嵓まで登り返し、尾瀬沼方面へ下山していきます。風のないところでお昼を取ることにし、狭い登山道の脇、ハイマツぎりぎりのところに腰を下ろして休憩しました。

分岐を過ぎ、湿原を過ぎるところまでは急坂が続きますが、そのあとはかなり等高線は緩み、後半は大分楽な登山になるはずだと思い込んでいました。

しかし、湿原をかなり過ぎても、急坂が緩まることはなく、しかも、道はどんどん悪くなっていきます。くるぶしほどまで埋まりそうな泥濘が続き、まともに歩ける部分は殆どありません。ドロドロのぬかるみを左右に避け、木の根をまたぎつつ、回避できないところは慎重に歩を進めるしかありません。途中悲鳴をあげ、転倒しないよう細心の注意を払いながら単調な道をダラダラと下っていきます。樹林帯で眺望もなく、この最悪な登山道で神経をすり減らしたおかげで、疲労とイライラが蓄積していきました。なんの目印もなく、いつこの泥濘地獄から抜け出せるのかと気持ちは萎える一方。やがて傾斜がなくなり、ほぼ道が平坦になったと感じる頃、木道が出現!これはもしや沼が近いのでは…!?暫く木道を歩くと眼前に尾瀬沼が見えてきました。

「わぁ!!!見えたよ〜!!!着いた〜!!!」

いやーーー、長かった〜…。

長英新道が、こんなに歩きにくい道だとは全く予想していなかったので、まさに疲労困憊、拷問登山に近い感慨です。通常の登山道なら、あの等高線の緩さは楽勝で歩ける道だったに違いないのですが、等高線だけでは計り知れない現実が隠されていることもあるんだなぁと半分騙されたような気分でした…。やれやれ。

しかし、本当なら午後から雨が降る予報だったのが、殆ど降られることなくむしろこの時間には青空が覗くほどの良い天気に。梅雨時期にしては、恵まれていたと感謝しなければなりません。

樹林帯を抜け、尾瀬沼に出るとワタスゲが一面に咲いていました。尾瀬沼に沿って木道を進むと、長蔵小屋に到着!体力不足で小屋に時間通りちゃんと着くかどうか懸念していただけに、なんとか予定通り15時前に着くことができ、心から安堵。小屋は趣のある作りとなっており、お部屋も広々使えて、本当に贅沢です。しかも、コロナ対策でトイレットペーパーを流してOKだったり、お風呂の石鹸・シャンプーも使用可能等、本当に自然破壊にならないのかどうか心配になりつつも、こちらとしてはありがたいこと!

以前尾瀬地区の小屋にあった風呂が、かなりひどい状況で入ることが出来なかったと語るNちゃんの話は、まるで以前赤岳天望荘の風呂を形容したKさんの話【「まるで煮しめたような茶色い濁った湯で、雑巾の絞り汁に似た微妙な臭いを放っていた」(実際私が入った時は綺麗なお湯だった)】を彷彿させ、大いなる期待を寄せる私を怯えさせるのでした。しかし、こっそり事前に覗きに行ったお風呂は、とっても綺麗!!

お風呂が沸きましたとの宿の方のお声掛けで、一目散に入りに行きました。一番風呂を頂き、ビールでNちゃんと乾杯!!至極の喜びに浸りました。

その後おいしい夕食を頂き、日が暮れるまで尾瀬沼のほとりでのんびり過ごしました。カエルの優しい声が響き、静かな風が湖面のさざ波を作っていました。ずっとここに座って自然と同化したい。そうぼんやり想ううち、この3ヶ月の間蓄積したストレスや鬱憤は薄らいでいくようでした。





Nちゃんが持ってきてくれた山崎で二次会をし、消灯時間9時に就寝。翌朝は特に予定もないのでゆっくり5時過ぎに起きました。残念ながら早朝からかなりの雨が降っており、これでは沼散策も出来ないことから、すぐに下山して温泉に入ってから帰ろうということになりました。

6時から朝食を食べたのは私たちだけ。この雨の中、泊まっていたグループの方は早立ちして山頂へ向かったのでしょうか?

7時頃、完全装備で宿を後にしましたが、すぐに雨は上がった様子。神通力…??

しかも、一度もその姿が見えなかった燧ケ岳が一瞬、ガスの間から姿を現しました!あの頂上に立ったのかと感慨もひとしおで、暫くその山容をありがたい気持ちで眺めたあと、尾瀬沼を後にしました。木道が続く沼山峠休憩所まで1時間ちょっとの道のりを、こけつつも無事に歩き、バスで御池へ。

その後檜枝岐村の駒の湯で温泉に浸かりましたが、この頃から雨が再び降り始めました。やっぱり私たち、守られていたのかもしれません。

お昼に南会津でお蕎麦を食べ、宇都宮駅でNちゃんとはお別れ。

リハビリ登山にしては、かなり過酷な登山となりましたが、無事に登れて本当に良かったです!

今回も本当にありがとうございました!!

今年あと半分、また頑張って一緒に山に行きましょう♪




【今回の燧ケ岳登山記録】  

〈1日目〉

 行動時間 8時間39分 (5時間55分)

 6:10 御池登山口

 7:05~7:11 広沢田代 55(60)

 8:04〜8 : 13 熊沢田代 53(50)

9:58 俎嵓(2,346.2m) 1'45(1'40)

10:26 柴安嵓(燧ケ岳山頂2,356m) 28(20)

10:56 俎嵓 30(20)

11:22 分岐 26(20)

11:40〜12:00 お昼 

14:39 長蔵小屋 3'27(2'50)

〈2日目〉

 行動時間 1時間6分 (1時間15分)

 7:06 長蔵小屋

 8:12 御池登山口 1'06(1'15)


∴ 百名山記録 35/100   【丹沢山 奥白根山 筑波山 草津白根山 四阿山 浅間山   金峰山 瑞牆山 火打山 妙高山 大菩薩嶺 鳳凰三山  谷川岳  蓼科山  雲取山 八ヶ岳 常念岳 仙丈ヶ岳  甲斐駒ケ岳 赤城山 男体山 岩木山 富士山 美ヶ原 北岳 両神山 鳥海山 霧ヶ峰 那須岳 至仏山 安達太良山 木曽駒ケ岳 御嶽山 会津駒ケ岳 燧ケ岳】

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