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  • 執筆者の写真junpei

デビュー

山ガールデビュー戦だった丹沢への登山は無事終了しました。

人間の足ってすごい。とにかくこの一言に尽きます。


丹沢には沢山のルートがありますが、今回は初日、

鍋割山稜コースから塔ノ岳(1,491m)を目指すことに。


大倉バス停から二俣、後沢乗越。

ここで休憩をはさみ、鍋割山(1,272m)へ。

後沢乗越から鍋割山まではひたすら急な登りが続き、なんでこんな

とこ来ちゃったんだろうと後悔の念すら湧いてくる始末。

ひたすら続く丸太の埋め込まれた階段が、相当な苦痛です。

数段登っては、大きなため息。先の見えない登り坂を見上げては

大きなため息。とにかくきつい坂の連続。

途中ですれ違う人と交わす挨拶に励まされ、

そして「山頂まであと少しですよ!」との言葉に勇気づけられ、

ようやく鍋割山の山頂へ。

山頂でのお昼時に、一緒に行った山の師匠が持ってきて下さった

温かいコーヒー。

その味は、筆舌に尽くし難い程のおいしさでした。

今まで生きてきて、こんなにコーヒーがおいしいと感じた事は

ありません。大袈裟?

いえいえ。本当です。

間違いなく人生最高のコーヒーでした!


そこから小丸、大丸を越え金冷シノ頭(1,365m)を通過。

途中ブナ林や豆桜にうっとりしながら進みます。

最後の長い階段を超えると、初日の目標塔ノ岳(1,491m)に到着です。


山頂にある尊仏山荘が私たちの宿泊先。

登山客の皆さんと山荘の方々が「お疲れさまでした!」

と温かく迎えてくれるのが何より嬉しいこと。

その後、持って来たお水が底をついたので、

山荘より300m下にある水場に水汲みに出かけることにしました。

しかし、私は考えもなしに途中でペットボトルをつぶしてしまって

いて、水筒ひとつでは明らかに足りない…。と歎いていると、

隣にいたお兄さんが「良かったら」ときれいな空のペットボトルを

くれました。

気のせいでしょうか。山で出逢う人はみんな優しく、親切に感じます。


いざ水汲みへと向かったわけですが、300m先まで下って、

また山頂に戻るという作業はかなりの重労働。

またもふうふう言って山登り。蛇口から普通にお水が出ることが

いかにありがたいことなのか、改めて感じる瞬間です。


その後18時の夕食までにはまだ時間があったので、

他のお客さんと一緒に酒盛りを。

着いた時には見えなかった富士山も雲の中からくっきり見えてきて、

その幻想的な景色を見ながらのお酒は、また格別!


この子は、この山荘の営業部長「みーちゃん」。

あったかいストーブの前のベンチが彼の定位置。

かつて山荘近くに捨てられていた猫だそうで、

初めの頃は捨てられたことがトラウマで

人間不信になりなかなか慣れなかったそうですが、

今ではとってもフレンドリー。

私のひざの上ですっかりリラックスしていた彼でした。

彼は過去に数回家出しているそうで、山荘の方々が死んだに違いないと

皆が思っていた矢先、「お宅の猫が来ている」と

大倉(登山口)から電話がかかってきたそうです。

しかも、自力で山荘に戻って来たというからスゴイ。

どうやら発情期にメス猫を求めて下山していたらしいですが、

最近はお年を召してそんな冒険もしばらくしていないとか。


山のお話を肴にした酒盛りは消灯時間の20時まで続き、

楽しい夜は静かにゆっくりと過ぎていきました。

たまたまそこに居合わせた人との、触れ合いが本当に素敵。

残念ながら星空を見ることは出来なかったけど、

下界の夜景は美しく、殿上人さながらの気分でした。


しかし興奮の為なのか殆ど寝られず、3時間程で起床。

5時からおいしいおでんの朝食を頂き、6時には山荘を出発。

昨日よりは歩き方が上手になったのか、アップダウンにも慣れたのか、

竜ヶ馬場(1,504m)を経て順調に丹沢山(1,567m)に到着。

本当はその後、蛭ヶ岳(丹沢最高峰1,673m)に行くはずだった

のですが、どうやら分岐を誤り

宮ヶ瀬に向かう長い尾根を歩いていることが判明。


急遽予定を組み直す師匠。素人なら間違えたとわかった瞬間にあわて

ふためき、パニックになるところだけど、そこは大ベテラン。

落ち着いてルートを確認し、宮ヶ瀬に向かって再出発しました。

蛭ヶ岳に行けなかったのはちょっと残念だったけど、前日に痛めた足の

調子が悪く、ヘビーな山登りに耐えられるかどうか心配だったので、

1時間程早く下山できそうなルートに変更になったのは、不幸中の

幸いでした。

円山木ノ頭(1,345m)からは、ひたすら下りの道が続いていましたが、

下りもかなり大変。

足はガクガクで、滑りやすく、登りよりかなり注意が必要です。


途中、平坦なところにさしかかると、アスリート風のお兄さんが

おにぎりを食べて休憩していたので、私たちもお昼にすることに。

お兄さんが、爽やかに「気をつけて!!」と言いながらその場を

立ち去ったあと、私たちはゆっくり1時間ちかくそこで休憩。

そろそろ出発という頃、同じ山荘に泊まっていたおばさま5人組と

再会したので、下山後の温泉情報を教えて頂き、お別れしました。


尊仏山荘のご主人が、「午後から降る」と言っていた通り、

しばらくすると雨が降り出し、なんと雷まで鳴りだしました。

休憩ポイントからの道は、アップダウンを避けてつけられた巻き道

のため、歩きやすいとも言えるのですが、

その道幅は足の幅しかないようなかなり狭いところが沢山!

踏み外せば転落、即死…?みたいな箇所が多くて、

高所恐怖症の私は殆ど横を見る事ができませんでした。


ついに雨も本降りで、カッパを着込みザックカバーをしての歩行。

いよいよ雷が近くでゴロゴロいい始めた頃、その道もかなり危険な

箇所にさしかかっていました。

ロープを頼りに岩にへばりついてカニ歩きしながらしか通れない道、

鎖場(鎖をつたって行かなければいけない岩場)、

そして段差が1m近くはある断崖で、30センチ幅程しかない足場に

降りなければいけないポイント等、どれも本当に泣きそうでした。

何とか難所をクリアした頃には雨も上がり、一安心。


これが当初の予定通り蛭ヶ岳に向かっていたら、おそらく雨も激しく

大変だっただろうし、障害物がない山頂近くだと雷も恐ろしいし、

道を間違えてかえって良かったと二人で話しました。

最後の山、高畑山(766m)を通過しようやく宮ヶ瀬に到着!!

めでたい!!


本厚木行きのバス停へ向かうと、1時間に1本しかないバスが、

なんと2分後に到着!

バスに乗った途端に雨も降りだし、ラッキーは続きました。

その後鶴巻温泉近くの温泉につかり、町田で祝杯をあげ、

自宅に戻ると、疲れも限界でバタンキュー。


本当によく、歩きました!!

人間、やればできるものです。頑張りました…!

へたれの私を元気づけ、安全な登山に導いてくださった師匠Kさん、

本当にありがとうございました。


生まれて初めての経験を、この歳になって味わうことができるって

やっぱり素晴らしいことだなあ。としみじみ振り返る今夜なのでした。










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